2007年度奨学生レポート(湊 麻理子)

JIC会員の皆様ごぶさたしております。少しは涼しくなってきましたがお元気でおすごしでしょうか。JIC32期奨学生の湊麻理子です。5月に約1年の留学を終えて日本に帰国いたしました。報告が遅くなり、大変申し訳ありませんでした。その後就職活動に専念しておりましたが、10月からは再び一橋大学法学部に復学し、3月に卒業する予定です。

この1年間の留学は自分の生きてきた中でも最も衝撃的な体験の一つでした。新しく出会った人々、困難を乗り越えた経験、今まで知らなかった価値観、社会に出る前にこのようにたくさんの新しいものに出会えた経験は自分にとって大変大きな財産となりました。このような機会を与えてくださったJICの皆様に心から感謝すると同時に、今後は会の運営に微力ながら協力させていただきたいと思います。自分の衝撃体験を、つたないながら少しでもお伝えして、最後の報告とさせていただきます。

スペインからアメリカに帰国し、数日間冬休みを寮で満喫した後新たな気持ちで新学期を始めることができました。とりあえずスペインにいる間軽くアメリカシックになっていたので、先学期できた友達と一同に会したいと思い、パーティを開いて楽しく新学期をスタートさせました。お部屋を貸してくれた友達、買い物に付き合ってくれた友達、料理を手伝ってくれた友達、そして何より来てくれた友達に感謝です。知らないもの同士が出席するアメリカのパーティのやり方が面白いなと思い、その様にしてみたのですが、後日、「あのときのMariko のパーティで友達増えたよー」と何気なく言われたことがあり、大変うれしかったです。

●学業●

春学期は秋学期を通しての反省を踏まえて、メディア研究に関する授業を多く履修しました。具体的にはSPCM277 Media and Public Discourse, COMM321Irony in Film, COMM389 International Communication,を履修することができました。また、1学期に履修したRace and Ethnicityの授業や、5ヶ月間アメリカに暮らした経験から非常に興味を持っていた、アメリカの人種問題にも少しかかわるかなと思い、Black Chorus を、自分の趣味からTHEA101Introduction to the Theaterを、そして諸先輩方が強く勧められていたSPCM101 Public Speakingを履修しました。じつはスペインから帰国した時点でほとんど履修ができておらず、あわやアメリカ追放かと危惧していたのですが、さまざまなオフィスを訪問し、先生方に交渉することで、自分として満足のいく時間割を組むことができました。秋学期に訪問した際にはしゅんとうなだれて帰るしかなかったオフィスにおいても、納得できるまで説明しろと強く迫れるようになり、自分が強くなれたと実感できました。

中でも特に印象深かったのは、COMM321COMM389です。メディア研究がほぼ初めての自分にとって、300番台のこれらの授業は大変大きな試練でもありましたが、それと同時にとても刺激的で、先生方もすばらしかったです。ここで少し授業内容を紹介させていただきたいと思います。

COMM321 Irony in Filmの授業においては,毎週一本ずつ映画が課題として出され、それを見た上で”Ironical”なシーンを細かく分析していきます。課題となった映画は水曜日の夜間に特別に映画タイムが設けられ、クラスメイトと学校内の教室で見ることができました。当時映画館でまだ上映されていた”JUNO”もその期間中に見ることができ、驚いたことを覚えています。最初はその時間中に見ていたのですが、せりふなど、字幕入りでじっくり見たほうが分析しやすいと感じたため、毎週図書館や町のビデオ屋さん(Rentertainment)でレンタルしてみていました。(おかげで図書館のDVDコーナーとレンターテイメントの配列は完全に把握しました。笑)課題の映画は教授によってあらかじめ選択されていたのですが、授業の性質上「名作」とは呼ばれないような映画が多かったのですが、それはそれで楽しめました。特に”Annie Hall”,そして “The Namesake”(邦題は「その何ちなんで」)はすばらしい作品だとおもいましたので、もし機会があったらぜひお勧めしたい作品です。

              毎週の授業では、「商業主義」、「人種」、「犯罪」、などのテーマにそって分析を行います。この授業で学んだのは、上記のような一つ一つのテーマを文献によってしっかりと組み立てて映画に応用する手法と、映像(映画に限らず)を分析する視点です。特に後者については、イリノイに来てこの授業を取らなければ学べなかったことですし、大変貴重な経験でした。授業とグループワーク、そして2度のレポートを通して、何度も上記2つの行程を繰り返させられました。グループワークを例に挙げますと、もう一人の学生とペアで、映画ハリーポッターのパロディ映像を分析しました。(URL:)ハリーポッターの世界観とヒップホップを融合させてパロディとしているこの動画においては、(映画での外見と酷似している)ハリーポッターがラップを歌うことがなぜ笑いを誘うのかを、人種、セクシュアリティなどの面から分析し、発表しました。秋学期にはかなりグループワークを負担に思っていたのですが、このグループワークにおいては、「自分の得意分野(あるいは根気でカバーできる部分)で貢献する」という目標に近づけたのではないかと考えます。

COMM 389 International Communicationは、電信にはじまるCommunicationの歴史を総括したのち、主に現代における越境メディアとその影響について学びました。例を挙げると、アルジャジーラやCNNニュースなどの通信社、MTVがアジア諸国に与える影響、ハリウッド映画、Bollywood映画などです。自分が特に興味をもったのは”Cultural Hegemony” という考え方で、シンプルに言うと、「覇権を持ちうるほど普遍的な文化(たとえばハリウッド映画など)は軍事力の覇権と同様に他の文化に侵入し、それに影響する」という論理です。中間レポートにおいては、映画「パールハーバー」の日米のPR方法の違いをもとに、Cultural Hegemonyの限界を論じて、Aをいただくことができました。

この授業は教授が特に講義の双方向性に重きをおいており、積極的な授業参加を要求されました。クラスの学生の討議、そしてクラスのHPの掲示板での議論ですすんでいく授業は大変刺激的であり、じぶんのモチベーションもあげられました。また、先生には学期初めの履修登録の時点で留学生の身分であることから許可書の発行などの面でお世話になっていたこともあり、日本での事柄においてなど、常に発表の機会を与えていただきました。また、授業の理解が足りずメールで質問すると、自分の質問したメールの3倍もの長く丁寧な指導を頂き感激しました。

  

●コーヒー アワー●

諸先輩方のレポートを読む中で、コスモポリタンハウスで開催されるコーヒーアワーのことを知り、是非自分達でもやりたいと留学前から考えていました。日常生活に追われて、気づけば最初の学期が終わってしまい、「もう無理かなー」と思ってだめもとで責任者の方に聞いたところ、開催できるとのことでしたので、今年も無事に日本のコーヒーアワーを開催することができました。ほかの奨学生レポートのなかでも報告があるかもしれませんが、今年はプレゼンテーションをクイズ形式にし、景品も用意したことで、大変盛り上がったと感じます。景品については、日本館の郡司先生には当日アトラクションできる浴衣やその着付けまで含めてお世話になりましたし、シカゴの領事館の方々、鎌倉からはなんとペアでお食事券をいただくなど、多くの方々の協力を得ました。特に鎌倉は日本人以外の学生にも人気のレストランであり、粘り強い交渉により、自分たちの試みに理解を示してくださり、このような形で協力していただいて、クイズ大会にも真剣みが増し、大変よい試みだったと思います。

クイズ大会と同時に食事のサーブも行いました。(今年度のメニューはから揚げ、おにぎり、カレー、焼きそばなど)200人分の食事を用意することは想像以上に大変で、前日はほぼ徹夜でごぼうのささがきをしたりもしましたが、田辺さんがうまくリーダーシップを取ってくれたおかげで、無事にやる遂げることができました。当日になっていきなり手伝いを頼んだ方々も応援にきてくださり申し訳ないほど協力していただきました。食べ物に関しては、予算の面でも、調理や片付けの面でも本当にたくさんの方々に協力していただき、あらためて感謝したいと思います。

Facebookなどで友達に呼びかけてはいたのですが、当日は思った以上にたくさんの友達が駆けつけてくれて感激しました。誰もが日本料理に夢中になり、アトラクションや衣装の浴衣をたのしんでくれて、”You did a great job!”と声をかけてくれるのを聞いて、涙が出るくらいうれしかったです。先学期から人間関係について考えることが多く、今学期は絶対に積極的に関わろうと必死になってしまっている部分が多かったのですが、こんなにたくさんの友人がいてくれているんだと再確認させてもらいました。

●春学期あれこれ●

アメリカのバレンタインデーは日本でのクリスマスに近い気がします。カップルで過ごすものであり、相手がいなければ同姓同士のパーティで楽しみます。その日は町中ピンクと赤で染まります。その数日前から寮のイベントでデコレーションをしたりバレンタイン気分が高まっていたのですが、当日は朝から寮の友人とチョコレートを交換したり、チョコレートをもらったり、バラをもらったり、寮の女の子の部屋でパーティをしたり、終始幸せな感じですごしました。

Unofficial(聖パトリックの日に町中が飲みまくる行事。キャンパスタウンは春休みとかぶってしまうため、別の日=Officialではない日,に行うためUnofficial)は危ないと聞いていたのですが、本当に危ない感じでした。みながクレイジーになることを見越して自分の授業はすべてキャンセルされていたのですが、あいにく上記のCOMM321のレポートについて教授と話し合わなければいけなかったため、夕方から参加しましたが、話によると朝からクレイジーだったそうです。

春休みは渡米してきてくれた母と、シカゴやミネソタで思い出の地をめぐりました。母と過ごすだけで大変リラックスし、残りの学期をがんばるための充電ができたと思います。

春学期になってから火曜日は友達と夕食をとって図書館で勉強して、スイーツが最も充実していると評判のBuseyLate Night(夜間購買)でケーキでしめる、というのが定番になりました。うっかり話し込んで勉強にならないことも多かったですが、気温マイナス20度のなかでも決行するほど楽しかったです。

Black Chorusの授業は大変刺激的でした。まず楽譜を使わない授業方法に度肝をぬかれ、(歌詞がわからず常に作詞してました)熱くソウルフルなDavis先生に驚きました。地域の教会で歌い、たくさんの人々がスタンディングしてくれたこと、Mother’s day weekendで大好きなKrannertの舞台に立てたことなど、よい経験をたくさんさせてもらいました。一方で他人の文化を理解するには努力が必要だということも実感しました。自分はこの授業を、主に「歌うのがすきだから」という理由で受講しました。しかし、Black Chorusである以上その歴史や存在に敬意をはらわなければならないし、それを理解しようとしなければいけないなとも感じました。はっきり言って授業の運営に納得がいかなかったり、他の生徒がやっていることが理解できないと思うことも多くあったのですが、それでも歌によってたくさんの人とまとまれるのはすばらしいと思いましたし、よい経験だったと感じます。

この学期は最後の学期ということで、時が過ぎるにつれて残り時間を強く意識するようになりました。その分多くの友達とたくさんのことを語り合えたことはよかったと思います。時には寮の床にすわりこんで、留学生友達と、「この留学をどう生かしていけばいいんだろうね」と話したり、あるいはラウンジで、他愛無い雑談をしたりした時間は、とても愛おしいものでした。人見知りが激しい自分が、他者を理解しようとする姿勢において、少しは成長できたかとおもいますし、このことは帰国後も忘れないようにしたいと思っています。

●     学期終了後●

期末テストやすべてのレポートを提出し終えた満足感に浸るまもなく、荷物のパッキング、寮の部屋の掃除に終われながら、友人との別れを惜しみました。自分が寮を離れる前日には、仲のよかった友人で最後にMurphy’s に集まり、しめっぽくなる間もなく大騒ぎしながら終わりました。それでも、翌日車が1年間慣れ親しんだPARを離れる際には思わず涙が出そうになりました。

私たちは学期終了後10日ほど、留学生の友人とアメリカ南西部を回るロードトリップにでかけました。この旅行は寮で仲のよかったRachelと、「テキサス行ってみたい。」「グランドキャニオンを見てから国に帰りたい」といった思いつきから始まった旅行だったのですが、最終的には参加者10人、期間3週間という大規模な旅行に発展しました。(結果的に旅行が前半と後半に分けられ、自分は前半のみ参加となりました。)春学期の後半はだいたい週に1度集まって計画を練っていたのですが、計画段階から楽しくてたまりませんでした。参加者が全員留学生だったということもあり、グループ全体に「お互いをもっと知りたい。分かり合いたい」という前向きな空気が満ちていて、とても居心地がよかったです。シャンペ-ンを出発した後、セントルイスを通りオクラホマ、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、ユタ、コロラドと、たくさんの 町をまわりました。節約のために5日連続でテントにとまったこと、地元の協会の方と仲良くなったこと、グランドキャニオンで朝目覚めたら雪にうずもれていたこと、モニュメントバレーの景色に息をのんだことなど、かなりアクティブな旅の中みんなで大笑いしながら過ごしたことは忘れられません。個性豊かなメンバーで、車中でも話題が尽きず、本当に楽しかったです。また、南西部の景色、人々の様子は1年間慣れ親しんだ中西部とはまた違っていて、アメリカの多様性、大きさを再確認しました。ユタからイリノイへ一度戻り、そこから帰国しましたが、アメリカ最後にまたよい経験ができました。

長々とかいてしまいましたが、世界中にたくさんの友達ができ、彼らの積極的で活発な様子から、今後の自分の課題が少しはっきりしたこと、少しの自信がついたことが最もおおきな収穫であったと思います。今回の留学で得たたくさんのことを、かならず今後に生かせるよう、努力していきたいと思います。

温かい応援をいただき、本当にありがとうございました。

一橋大学 法学部4年 湊 麻理子

2007年度奨学生レポート(八尾泰洋)

JICの皆様、こんにちは。2007年度小山八郎記念イリノイ大学奨学生として留学をさせて頂いた東京大学工学系研究科システム量子工学専攻の八尾泰洋です。去る5月に約一年にわたった留学を終え、帰国いたしました。帰国後はすぐに大学院での研究を開始し、毎日大学に通う日々を過ごしてまいりました。今回レポートを書くに当たって、久々に留学を振り返り、本当に素晴らしい一年間を過ごすことができたことを実感いたしました。留学では、英語能力の向上だけではなく、人生を豊かにする様々なものを得ることができました。本当にこのような留学を支援してくださった皆様には感謝しています。それとともにこれからこの奨学金がいつまでも続くように、自分ができることで支援していきたいと感じています。

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・授業

僕は専門性を高めたいという意識から、Spring SemesterもComputer Scienceの授業を中心に履修をいたしました。しかしこの選択は、意外にも人の輪を広げる助けとなってくれました。2学期連続でSiebel Centerにこもる生活をした結果、同じような生活をしている同専攻の学生たちの顔見知りも増えました。地下のLaboratoryでは誰かと話をしながら課題に取り組み、Engineering専攻の学生たちの一員になれたような気がしました。Spring Semesterでの一番の進歩は、授業中の発言回数が多くなったことだと思います。授業の理解度も高まり、学生が発言をする雰囲気にも押されて、自然と気になったことを授業中に言えるようになっていきました。Spring SemesterもGPA 4.0で終えることができ、その中で培ったプログラミング能力も僕が留学で得たものの一つです。

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・寮

Spring Semesterの開始時に、それまで住んでいたISRから院生寮のSherman Hallへと引っ越しました。主な理由は、留学生の友人が多く住んでいたので、楽しく過ごせるかなと感じた事でした。その考えは正解で、寮で友人たちと映画を見たり、ビリヤードをしたり、キッチンで料理を作ったり、お酒を飲んだり、本当に楽しい日々を過ごすことができました。授業や課題に関して、Siebel Centerや図書館に引きこもりがちだったので、寮に多くの友人がいることは本当に助けになったように思います。

Semesterが終了してから、同じ寮の友人たちとワシントンとニューヨークに旅行をしたこともよい思い出の一つです。

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・最後に

留学から帰ってきたのち、何人かの友人たちが日本に来てくれ、再開を果たすことができました。(一人のアメリカ人の友人とはともに富士山登頂まで果たしました。)留学して最も良かったことは世界中に友人ができたことだと感じています。その人とのつながりをこれからも大切にしていき、育んでいきたいと思います。皆様、本当にこのような留学を経験させていただいてありがとうございました。

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2007年度奨学生レポート(長谷川貴也)

先日2008年8月10日、日本に帰国し1年間の留学生活を終えました。奇しくも1年前の同じ日に、成田を出発してから、丸一年が経ちました。今後は休学していた慶應大学に復学 し、5年目の学生生活を送る予定です。帰国が遅くなり、総会で直接報告できませんでしたが、最後のレポートをお届けさせていただきます。イリノイ生活では夏に72日間かけて参加したアメリカ大陸自転車横断やJapanese Coffee Hour など、春学期は秋学期以上に様々なアクティビティに参加しました。それらを通じて半年前と比べても多くのことを学んだなぁという気がします。中でも、留学中出会った、人々の個性的な価値観を知ったことで、自分自身について考えるきっかけになりました。つたない英語は格段の進歩を遂げたとはいえまだまだ発展途上です。(ちなみに1年前はサブウェイでのサンドウィッチの注文に困り、毎回前の人と同じモノを注文していました。)

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「Illini4000 for cancer 」(http://www.illini4000.org/

この夏、20人の仲間と共にアメリカ大陸を自転車で横断しました。Illini4000は今年で2年のイリノイ大学の学生組織で、ガン研究のドネーションを集めるために大陸を横断するというものです。また、各州の研究施設、病院などを訪問し、手術経験者にインタビューを行なったりもしました。様々な場でプレゼンテーションを行いながら旅を進めていくというスタイルからもわかるように、当初予想していた肉体的なチャレンジというよりもむしろ行く先々でのイベントに重点を置いたものでした。私にとっては肉体的にも相当ハードでしたが…。

参加者はイリノイ大学の学生20人で女子8人、国籍は中国、インド、スェーデン、アイルランド、ブラジルなど、フレッシュマンから院生まで多様でした。参加動機もまちまちで、メディカルスクールの学生でガン研究に興味があった人、自転車競技経験のある人等バランスを重視してメンバーは選ばれたようです。ただ、開始当初、多様というよりもタイプが違いすぎてなかなかチームがまとまりませんでした。食事のことでベジタリアンと衝突したり、自転車の実力差から不満がでたり。また急なPennsylvaniaの山では故障者がでるなどトラブルもありました。今振り返ってみてもアメリカ中部の退屈な景色の中、強風を正面から受けた一日、氷点下のイエローストーンを走った朝、熊に襲われそうになったこと。大変だったことは多くありましたが、シカゴを過ぎたあたりからチームとしても本音で話し合い修正した効果がでたのか、まとまりがでて肉体的にも精神的にも余裕がでてきたような気がします。その後はロッキー山脈へと進むにつれ旅がハードになって行きましたが無理なくこなせるようになっていった気がします。

私自身帰国後聞いて驚いたのですが、最終的には600万円のドネーションを得ることが出来ました。20人の結束も強くなり、最高の形で旅を終えることができたのではないかと思います。当初私はドネーション集めに消極的で、本当に企業がサポートしてくれるのだろうか?という思いが常につきまといました。また、英語が十分に話せないが故の失敗も多くあったものの、実際に企業や地域コミュニティとのコンタクトを経るにつれ、そういった交渉も克服していきました。金銭のサポート以外に、レンタカー会社から100万円近くのサポートを受け、全国チェーンのカフェからは莫大な数のベーグルを各支店で支給されるなど、数え切れない程の企業からサポートを受けました。各都市で、イリノイ大学のalumni associationからもサポートを受けました。オレゴンにあるNike社へのツアー, イリノイ大学、ノースウェスタン大学の大学病院訪問などはイリノイOBの好意によって実現されました。ガン研究に興味があったというよりは冒険に惹かれて参加を決意した私でしたが、各イベントで刺激を受け、アメリカという国をいろんな方向から見て、また、この国の大きさを肌で実感させられた72日間でした。各町の新聞、テレビなどのメディアに多くとりあげられ、私は唯一の交換留学生ということで取材される機会が多かったのも今となっては良い思い出です。

この旅で何を得たのか?その問いに対する明確な答えはまだわかりません。強いてあげるとすれば「厳しい環境であっても仲間に恵まれれば乗り切れる」という自信がある程度ついたことぐらいでしょうか。1つの目標に向かって全精力を注ぐことができた今回の旅はこれまで私が経験したことのない経験を多く与えてくれました。最終的には忘れたくない思い出がたくさんでき、旅が終盤にさしかかった頃には、いろいろな感情が毎日こみ上げてきました。オレゴンでNY以来の海を見たとき、「しんどかったこの旅ももう終わりか。」そう思った瞬間、メンバーと別れて1人日本に帰るのが急に寂しくなりました。

「日常生活」

Illini4000の話が長くなってしまいましたが、シャンぺーンにいる間、それ以外にも多くに経験ができました。中でも楽しかったのはコスモでのJapaneseコーヒーアワーです。JICのメンバーが中心となり多くの日本人、またその友人が協力してくれ良い思い出となりました。主に全体の進行を指揮したのは湊さんで日本食レストランに出向いてクーポンを獲得したりもしてくれました。その他、ミーティングをまとめたりするのも湊さんでした。料理を担当したのは田辺さんで本番に向けて、材料の買出し、試食パーティーなどを行なっていました。八尾君はテスト直前だったにも関わらず前日夜遅くまで料理の下ごしらえを手伝っていました。私はというと当日、勝ち残り形式のクイズで日本文化の紹介を行なったのですが、想像以上に参加者の知識が豊富で進行が思うようにいかなかったのが反省点です。春学期も終盤にさしかかった忙しい時期にも関わらず彼ら3人がうまく時間をやりくりしているのを見て、感心したのを覚えています。1つのことに取り掛かると他の事に気が回らなくなってしまう自分にとって、限られた1年という期間中にやりたいことが多くあるという状況下、彼らから時間管理について学べたのも大きな収穫です。

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「最後に」

留学は1年間で終わりを迎えましたが、世界に散らばるイリノイ大学の仲間とは、いつの日か必ず再会するつもりです。1年前までは無かったこのネットワークは、自分のこれからの生活に大きな刺激を与えてくれるだろうし、自分からも刺激を与えていきたいと思っています。そのためにも、JICの一員として活動していけることを楽しみにしています。最後に、素晴らしいアメリカ生活のきっかけを与えてくださったJICの皆さま、どうもありがとうございました。

2007年度奨学生レポート(田辺夕佳)

JICの皆様、いかがお過ごしでしょうか。東京大学文学部4年の田辺夕佳です。先日、総会にお集まりいただいた方々とは一年ぶりにお会いし、帰国の報告をさせていただきましたが、皆様へのご報告が遅くなってしまったことをお詫び申し上げます。

8月も下旬に差し掛かり、帰国してから3ヶ月も経ってしまったものかと驚いております。今ではすっかり日本の生活に戻り、本当に密度が濃く楽しかったイリノイでの日々を思い返すたびに懐かしさがこみあげてきます。今年度の奨学生はまさに向こうでの生活が始まったばかりと伺いました。1年前初めてイリノイに降り立ったときの感動やこれからの1年間の期待でわくわくしていた自分を思い出しました。

留学生活の中で、今まで自分が身に着けてきた英語力がいかにネイティブにはかなわないものであるかを思い知り、自分とは全く異なった環境で育った人々との文化の壁に悩んだこともありましたが、壁となっていた人々は、同時に多くのことを気づかせてくれた大切な友人でもありました。私がその中でも特に親しくなった友人は、本当にエネルギッシュで、興味の幅が広く、たった1年しかいない留学生である私のことを受け入れ、理解してくれた人たちでした。私もそんな彼らから刺激を受け、彼らには負けられないと思えましたし、一緒に過ごした時間は本当に充実し楽しいものでした。

この1年で大きく成長した、などと大げさなことは申し上げられませんが、楽しかったことも大変だったことも含め、自分にとってかけがえのない経験であり、将来思い返したときにイリノイに行くことができてよかったと自信をもって言えるのではないかと思います。

このようなチャンスを与えてくださり、日本から暖かく見守ってくださっていたJICの皆様に心から感謝しております。

UIUCのシンボルにて

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授業:スピーチ

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先学期に引き続き、力を入れていたSpeech Communicationの授業についてお伝えします。先学期SPCM101を受け、初めはアメリカ人の大胆な話しぶりやスピーチに織り交ぜられるユーモアなどに衝撃を受けましたが、一学期を経てようやく人前で堂々と話せるようになりました。その経験を通し、スピーチにもルールが存在すること、そしてそのルールに従ってスピーチを構成し、話す内容に関してしっかり自信をもって聴衆の前に立つこと、というのが重要な要素であると感じました。もちろん言語能力で若干のハンデがあるということもありますが、何よりも経験の不足が自分の課題であると思い、今学期は少しレベルも上げてSPCM332に挑戦しました。

この授業でとてもよいライバルとなったのは、同じ交換留学生のスウェーデン人でした。スウェーデンでは日常生活に英語が浸透しているらしく、さほど英語に困っているようには見えませんでした。しかし、よくよく話してみるとそれは私の偏見に過ぎず、彼も同様に私が何の苦労もなく授業に参加していたと思っていたそうです。それを機に、仲良くなりました。先学期までの授業で行っていたスピーチとは異なり、発表時間が長くなる上に、ほぼ何も見ずにプレゼンテーションをしなければならないという決まりはアメリカ人のみならず、当然留学生の私達にも適用されたので、彼も頑張っているのだからベストを尽くす上での甘えは許されないな、という気持ちになり、とてもよい刺激になっていたと思います。

また、この授業は生徒の9割がSpeech Communicationの専攻であったということで全体のレベルも高かったように感じられました。元々人前で話すことが好きな人たちが集まった授業だったので、他の人が行ったプレゼンテーションから学べることも多かったです。ロジカルに話を進めることはもちろんですが、同じ内容を伝えるのでも言い回しは人それぞれで、それによって話全体の雰囲気が決まってきます。それが「その人らしい」プレゼンテーションになっていくのだと感じました。今学期は就職活動の関係で度々帰国しなければならず、何度か授業を休んでしまったのですが、それでも非常に良い評価を頂くことができました。この1年間スピーチに取り組んできた達成感を味わうことができたとともに、人前で話す自信もつきました。

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授業:バリダンス

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続いて、最も印象に残ったアクティビティの授業についてお話しいたします。今学期、私は苦手とするダンスに挑戦しました。リズム感が全く無い自分にとって縁遠いものと思っていたのですが、アメリカに来て心構えとして変わってきたのは、「挑戦してみたいという気持ちを大切にし、やる気があるなら積極的になるべきである」というスタンスです。旅の恥は掻き捨て、といいますがイリノイにいる間は躊躇せずに色々とやってみようという気持ちが徐々に明確化してきたように感じ、ダンスの授業もその一つでした。ただ、ダンスといいましても私が挑戦したのはヒップホップでもバレエでもなく、インドネシアの島、バリ島に伝わる伝統舞踊であるバリダンスでした。バリダンスにした理由は簡単で、あまり人気がなく履修できた唯一のダンスクラスだったということなのですが、実はこれが最も力を入れた授業かも知れません。たった8人の生徒がインドネシア人の先生と1単位のために週4時間近く練習し、15分の曲に合わせて踊るだけでなく、バリ語の歌も覚えました。

バリダンスはやってみてから知ったのですが、ステップというよりはむしろ顔で表現する踊りで、表情や目の動き、それに首から上のみを左右に動かす独特の動きをマスターしなければならず、生徒達ははじめ苦戦していました。男役と女役に分かれてカップルの愛を表現している踊りは、先生が考案したオリジナルダンスで、動き自体は難しくないのですが、どうやってもみんなの動きはバラバラで、先生の動きとは似ても似つかず、バリダンスの難しさを感じました。学期末の舞台発表会に向けてひたすら練習に打ち込む毎日でしたが、クラスの雰囲気は絶えず和やかで、学部生以外に院生も多く、一人の院生はなんと1歳の女の子のママでもありました。そんなバラエティに富んだメンバーで一つの作品を作り上げることは難しくもありましたが、互いにアドバイスしながら練習を重ねるうちに、ダンスとして形が出来てきて、無事本番を迎えることができました。

リハーサル

本番の日は開始4時間前から、伝統衣装を身にまとい、独特の化粧を施し、エスニックな雰囲気が漂った舞踊集団になることができました。残念ながら、会場はカメラ撮影禁止で本番の写真はないのですが、ガマランというバリの伝統楽器の演奏に合わせて私達8人は無事踊りきることができました。舞台に立ちスポットライトのもとで拍手を浴びる感動、ずっと一緒に頑張ってきた仲間と並んで最後のポーズを決めたときの達成感、そして見に来てくれた友人たちの存在の嬉しさ、このような気持ちを一度に味わえたのは本当に久しぶりだったと思います。

バリダンス

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課外活動

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昨年から参加していたアイススケートのコミュニティの活動を今学期も続けました。学校内のリンクということもあって日本よりも空いていて練習がしやすく、学生は入場料タダという環境は本当に恵まれていたと思います。細かいフットワークに焦点を当てたものとジャンプ・スピンといった大技に焦点を当てたものの2種類のレッスンに加え、平日の昼間にあるPublic Skatingという一般滑走の時間に練習仲間と一緒に自主練を行い、リンクの近くの寮に住んでいて本当によかったと実感しました。実際、これだけの練習を重ねると少しずつ上達するもので、長年できなかったスピンやジャンプができるようになり、筋力もついて滑りに力強さが増したように思います。

発表会

このような練習の積み重ねの集大成となったのは、毎年恒例の発表会です。今年のテーマは映画ということでクラスごとに映画のテーマソングに合わせた演技を行いました。私は大人クラスとアイスダンスクラスの2演目に出演し、それぞれMen in BlackShall We Dance?の音楽で行いました。ともにおそろいのコスチュームを用意し、メンバーの家で陸上練習も行いました。このメンバーの興味深い点としては、ほとんどが大学関係者なのですが、私が最年少で他の人はこの大学の教授であるという点です。脳の神経や航空宇宙、物理など様々な専門家とともに滑ることが出来る経験はなかなか無いのでは、と思います。そのプロ意識は練習態度にも表れていて、60歳近い年齢でも絶えず向上心を持ち続け熱心に練習に取り組んでいました。休み時間にあるとき、「日本の地震」の話になり質問攻めにあった後、そのあとは各々が持論を展開し熱烈な議論となっていました。

Shall We Dance?

発表会本番になり、フィギュアスケートは中学の頃からやっていたスポーツなのですが、大舞台に出るのは初めてだったので、開演前から緊張しているとみんなが私の元へやってきてその緊張を和らげてくれました。普段は意識していなかったのですが、自分の親よりも歳の離れたメンバーの醸し出す優しさに大いに癒されたことはいうまでもありません。演技自体は、普段の70%しか発揮できず納得がいかなかったのですが、他の出演者も常に成功している技を失敗したりする姿を見て、発表会というものの恐さを感じるとともに、本番でプレッシャーがかかった状態での演技が悔しいけれども、今の実力なのだと感じました。とはいえ、大きなリンクを独占し、自分の動きに合わせてスポットライトが動き、多くの友人が観客席にいるという幸せは一生忘れられないと思います。

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まとめ

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上記の本文では今学期印象に残った経験について触れさせていただきました。今学期はUIUCで学びたかった、Speech Communicationや経済の授業もSpring Semesterは思い通りに履修でき、先学期はとれなかったActivity系の授業も運よくとれることになりました。最初の学期はひたすら教科書に向かう毎日だったのですが、今学期はもっと人と触れ合う時間を増やしていきたいと考えた上で決めた時間割だったので、実用的な英語力を磨くのみならず年齢も人種も分野も様々な人と出会い、協力して何かを作り上げるという楽しさに没頭することができたと思います。この1年間で自分が身につけることができたものを一つだけ挙げるとすれば、それは度胸だと思います。人前に出て自分を他人に見せるということは舞台上だけでなく日常茶飯事でした。ほとんど毎日、新しい人と出会うのでその度に繰り返される自己紹介などでも慣れてくると自信がつきました。何事も経験と思い、新しいことに積極的に挑戦することも初めは意識的にやっていたのですが、最後はそれを楽しめるようになりました。

友人と迎えた出発の朝

そして、この1年間でできた友人は私の何よりの宝です。学校の中で生活するUIUCの学生は友人と過ごせる時間が本当に長く、楽しかったです。最後の一週間はお別れパーティーがいくつもあり、わざわざ他の町から集まってくれたパリ留学の友人や最終日のフライト時刻まで徹夜でパーティーしてくれた友人など、本当に温かい人たちに恵まれたと思います。帰国してからもいきなり電話がかかってきたり、日本に遊びに来た友人と再会したりと、イリノイにいた1年で終わらない関係を築くことができたことが本当に幸せだと思います。実際、来週もイリノイの友人と二人で香港へ旅行することになっていて、再会が今からとても楽しみです。パリで知り合った友人と再会

最後になりますが、このイリノイでの2学期間は今までの学生生活の中で最も充実した時間を過ごすことができたことは言うまでもありません。このような貴重なチャンスをくださったJICの皆様に感謝いたしますとともに、留学中にお世話になった方々、そしてそれを陰で支えてくれた家族、大学関係者、そして友人にもこの場を借りてお礼を申し上げたいと思います。

引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

湊麻理子さんの2008年1月分奨学生レポート

JICのみなさまご機嫌いかがですか?日本の友人からは東京で2年ぶりの積雪を記録したとの便りがとどきました。アーバナシャンぺーンは雪こそあまり降らないものの、マイナス15度を何度か記録し、アメリカ中西部の冬の寒さを肌で感じています。寒いのは日本出身の自分だけかと思っていましたが、授業のはじめの挨拶で教授がHow are you today?と聞くたびに、アメリカ人の学生がCold…..と答えるのを聞いて、みんな同じなんだな、と少し面白くおもいました。寒さで空気が張り詰めている分、晴れた日などは青空が澄み渡り、夜は月や星がとても美しいです。

 

冬のリンカーンアベニュー

〔写真;冬のLincoln Ave

さて、前回レポートをお送りしてから3ヶ月ほどの経過しました。今回のレポートでは、サンクスギビング休暇、Fall Semesterの後半、そしてバルセロナへの短期留学に参加した冬休みのことをお伝えしたいと思います。

サンクスギビングの1週間前にはボストンで行われたキャリアフォーラムに参加しました。このキャリアフォーラムは、日本語と英語のバイリンガルを対象にして行われるもので、11月の9日から11日にかけて3日間行われました。現在4年生の自分にとって、アメリカで就職活動をさせてもらえるよい機会になりました。参加している企業も国際的に活躍している、あるいはさらにグローバルな展開を目指している企業が多く、興味深いお話をたくさん聞くことができました。いくつかの企業については今後につながる活動ができたので、今後留学されるかたは、興味があれば参加されることをお勧めします。ボストンではほとんどの時間を就職活動に費やしてしまったのですが、少しですがボストンの町歩きを楽しみました。中西部とはまたちがった東海岸の歴史あるアメリカの町を楽しむことができました。

キャリアフォーラムや中間試験などで忙しかった期間を乗り越えたあとは、10日ほどサンクスギビング休暇だったので、17年前アメリカ滞在中にお世話になったDahl家のお宅に滞在させていただきました。ChampaignからPioreaMortonを越えて3時間ほどの場所にあるGeneseoという小さい町です。ほぼIowa州との州境にあるその町は、典型的な中西部らしい風景で、見渡す限りトウモロコシ畑が広がり、農家が点在しています。Dahl家の皆さんとは、17年前のシカゴ滞在中に教会主宰のサンクスギビングの国際交流イベントで知り合ったのですが、長い期間がたっていたにもかかわらず暖かく迎え入れてくださったことに感動しました。サンクスギビング当日には、第二世代のおばあさまのお宅に20人ほどの親族の方が集まり、私も集まりに参加させてもらい、伝統的なサンクスギビングディナーをいただきました。集まりにはなんと5世代にわたる親族が参加されており、アメリカの家族づきあいや家族のつながりについて考えさせられる機会になりました。日本で言うとお盆やお正月に親戚が集まっているのと似ているなと感じたのですが、5世代のなかで一番年長に当たる女性がおっしゃっていた、「最近は遠くに住んでいたりして昔のようにいつでも顔を見られるわけではない。このような機会には意識して集まってつながりをもたなければ」という言葉が印象的でした。

サンクスギビング

〔写真;Thanksgiving

サンクスギビングが終わったあとはすぐに期末試験の時期だったので勉強で忙しくしておりました。寮や図書館の雰囲気もがらりと変わり、勉強させられる雰囲気でした。ひとつ印象的だったのは、テストが3つ以上24時間以内に重なった場合、テスト日程を変えてもらえるという制度です。ただ単にテストさえ受ければよいというのではなく、一つ一つの科目をしっかり勉強し、身に付けるということが意図されているのだと感じます。また、ドイツ語の授業では筆記試験以外にもOralの試験が課されました。クラスの中でパートナーと組み、3分間のショートスキットを2本、即題の会話などを実演せねばならず、かなり苦労しました。パートナーの子とテスト前に何度も集まり、練習を重ね、実際のテストでは満足のいく結果だったと思います。実はオーラル試験の概要が発表された当初はパートナーが見つかるかどうかかなり不安に思っていました。運良く見つけることができたのですが、ドイツ語はもちろん英語も拙い私と練習するのは面倒だったと思うと、テストの後にお礼を言ったところ、「そんなことは全く気にしなくていいよ、僕らのテストはなかなかの出来だったし、よかったよ」と言ってくれて、本当にうれしかったです。一緒に練習してくれたパートナーには本当に感謝しています。また、最初苦労していたけど一番力を入れていた人種と民族に関する社会学の授業では高い評価をいただくことができ、大変うれしかったです。

また、期末テストの少し前に、こちらで日本文化を紹介する活動をしているJ-netというサークルのFashion Showに参加させていただきました。私はダンスのパートに加わりました。このようなイベントは高校以来のことだったので、最初は参加するかかなり迷ったのですが、大変いい経験になりました。練習の際も、日本の部活で練習する場合との違いを感じ、面白かったです。たとえば、日本では、ダンスの舞台発表の際などかなり長い時間をかけて、細かいところまでそろえることに集中していましたが、こちらでは短い時間で、みんなが楽しむことに力を入れているように感じます。最初はそのことにいらいらしたりしていたのですが、だんだんと、「自分で思うところがあるのならそれを伝えればいいんだ」と割り切り、楽しむことを重視しながらも、練習の仕方に意見を出したりして、主体的に関われたかなと思います。ダンスという自分の大好きなことを通して、いろんな国からのチームのメンバーとひとつのものを作り上げたということは、素敵な経験になりました。本番の舞台では最高のパフォーマンスができたと思います。ダンスチームのメンバーとはもちろん、そのほかの子ともFashion showを通していろいろな話をすることができました。また、勇気を出して誘った友達や、いつも励ましてくれるJICの同期が舞台を見に来てくれたこともとてもうれしかったです。

ファッションショーにて

〔写真;Fashion Showにて〕

期末試験のあとは待ちにまった冬休みです。わたしは冬休み前半をNew Yorkの友人の家ですごし、その後半はスペインのバルセロナへ行く短期留学のプログラムに参加しました。

NYの友人はもう20年近く付き合いのあるインド系アメリカ人のSnigdhaです。今回は彼女の家にお邪魔させていただき、NYのいろんな場所を案内してもらいました。タイムズスクエアやブロードウェイ、国連など、これぞNYという場所から、彼女や彼女の友人がよく訪れるレストランやカフェなども訪れ、典型的なキャンパスタウンのシャンぺーンとは違った都会の学生がどんな生活をしているのかを肌で感じることができました。また、本場のブロードウェイで26ドルの当日券でみたLes Miserablesは鳥肌が立つほどすばらしかったです。学生向けの当日券ということでしたが、かなりよい席で楽しむことができました。NY滞在中には、寮で仲のよい友達で、今学期で帰ってしまうHwa-Youngとも一緒に時を過ごすことができ、素敵な思い出になりました。また、Snigdhaのご家族と一緒にクリスマスをお祝いすることができ、しばらく家族から離れていたこともあって、とても心があたたまりました。

クリスマスの直後にシカゴに戻り、そこからバルセロナへの短期留学に参加しました。このプログラムは冬休み中の2週間を利用して外国へ行き、授業とフィールドワーク、そして何らかの課題(私の場合は日々のレポートと、帰国してからのファイナルレポートでした。)を提出することでLiberal Arts and Scienceの単位が普通の科目同様に認められるということです。私はカタルニア地方の文化や歴史、政治について学び、フィールドワークとしては数々の美術館やガウディのすばらしい建築などを見学しました。スペインで感じたことは、ヨーロッパの歴史の重さです。スペインはすばらしい町ですが、自分が生活をするとなると、アメリカ以上に違和感が大きいのではないかと感じました。それは、建築、美術、そして食べ物などのすべてにわたる文化が、長い時間をかけて綿密に作り上げられてきたからではないかと思うのです。そう考えると、アメリカの特異性(自分が感じただけですが、歴史が新しいだけでなく、誰にでも当てはまるようにtarget zoneの広い文化を育てているように感じます)についても考えることができました。

スペインでは本格的な留学経験といった感じで、2週間日本語を一切話すことなく、自分の英語能力としっかり向き合う時間になりました。一緒に行ったイリノイの学生達は特に私のような留学生に興味が深いわけではなかったので、英語の問題とともに、自分の魅力、バイタリティーが足りないということを思い知りました。日本からの留学生であるという以外の自分の魅力を磨く必要があるんだと身にしみたことで、新しい学期に対する新しいモチベーションを持つことができました。もっとアメリカの学生、あるいはほかの国からの留学生が何に興味をもち、どのようなことで笑い、どんなことを考えているのかを知りたい、共感したいと強く思いました。このように、反省する機会にもなってしまいましたが、移動中の何気ないおしゃべりや、みんなで海に行ってはしゃいだこと、飲みに行ったことなどは忘れられません。この旅で感じたこと、見つけた課題を常に意識して、残り少なくなってきた時間をすごしたいと思っています。サクラダファミリアにて

 

〔写真;Sagrada Familiaにて〕

さて、最近始まった新学期は、さまざまな人の助けもあり、自分の思ったとおりの履修ができたこともあって張り切っています。詳しくは次回書かせていただこうとおもっておりますが、COMM321Film and Irony, COMM 389 International Communication. SPCOM277 Media and Public Discourse, SPCM101 Public Speaking THEA101 Intro to the Theater Performanceを履修しております。自分の日本での専攻を違った分野から見ようと思い、日本にいるときから是非勉強したいと考えていたメディアスタディーズがしっかりと学べそうなので、がんばりたいと思っています。

留学生活も折り返し地点を過ぎましたが、いつも見守ってくださるJICの皆様、日本にいる家族、友人の皆様方に感謝して、報告を終わらせていただきたいと思います。引き続きご指導のほどよろしくお願いいたします。

 

 

ハロウィンパーティ写真:ハロウィンパーティ

湊麻理子

 

八尾泰洋君の2008年1月分奨学生レポート

 JICの皆様、こんにちは。2007年 度イリノイ大学小山八郎記念奨学生の八尾泰洋です。

前回の奨学生レポートで自己紹介をできていませんでしたので、まず簡単に自己紹介をさせていただきたい と思います。僕は昨年の春東京大学薬学部を卒業後、東京大学工学系研究科システム量子工学の修士課程に入学し、大学院ではScientific Computation分 野の研究に携わっています。イリノイ大学では、学部時代に学ぶことができなかった、そして大学院での専攻に直結するコンピューターサイエンスの授業を中心 に履修をしています。前回の奨学生レポートの時期から早くも三か月がたち、留学生活ももう半分以上が過ぎてしまったことになります。今こうして先 学期の出来事を思い出しながらレポートを書いていると、すっかり遠い昔のことのような気がしてしまい、懐かしさを感じずにはいられません。三か月の間に、 二つの大きな休暇、ファイナル、友人との別れ、そして新学期の開始など様々なことがありました。簡単にではありますが、このめまぐるしかった日々について お伝え致し たいと思います。

サンクスギビング休暇

 10月の奨学生レポート後、まず迎えた大きなイベントは11月中旬のサンクスギビング休暇です。サンクスギビング休暇は前回も少しお伝えしたUniversity YMCAのプログラムの一つであるASB(Alternative Spring Break)に参加し、OHIOにあるLake Metroparkという公園を訪れ、環境保護に関するボランティア活動に参加しました。学生12人で小さな家に泊まりながら、昼はボランティア活動、夜はみんなでゲームなどをして過ごし、充実した5日間となりました。

  初日と二日目は、沼地に生えている植物の種を集めるという作業を、皆で泥だらけになりながら行いました。この種は、水の浄化作用を持ち、多くの生物の生活 の場となる沼地を作るために使われるということでした。二日目はペアを作って皆でどれだけ種を集められるか競争をしたのですが、その時は一日目よ りもはるかに効率が上がったとスタッフの方が驚いていました。三日目と四日目は環境保護に関する仕事ではなかったのですが、Lake Metroparkの子供達用のワークショップのクリスマスデコレーションをしました。クリスマスの飾りつけなど、小学生以来だったでしょうか、それに比べたら大がかりなものではありましたが、味気ない部屋が徐々にクリスマス色に染まっていくのはなかなか達成感のあるものでした。

  そして、何よりもこの旅行で楽しかったのはメンバーと過ごした夜でした。ゲーム、ダンス、バーベキュー、ショートフィルムの作成など、様々なことをして楽 しみました。最後の夜はメンバーたちがサンクスギビングディナーを用意してくれて、皆でサンクスギビングを祝いました。ターキーがローストターキ ーであるなど、典型的なサンクスギビングディナーとはかなり違ったものであったのかもしれませんが、良いメンバーに恵まれ、最高のサンクスギビングを過ご すことができました。一緒に旅行したメンバーとは旅行後も集まってパーティーやBar crawlを するなど、本当に仲良くなることができました。こちらの学生は流動的で、メンバーの半数近くが交換留学やインターンシップへ行ってしまい、今学期はイリノ イ大学にはいないのが残念ですが、それも影響してファイナル試験期間中でのパーティーも多くのメンバーが集まり、短い期間ながらも親密なつきあい をすることができました。

2008-03-00-yao-01-photo1.jpg

(写真1:グループのメンバーと)

ファイナル

 サンクスギビングが終わると、ファイナルまでもう2週間となっていました。僕はこの時期にファイナルに向けての勉強だけでなく、Honors Courseのプロジェクトが始まり、一気に忙しくなっていきました。この授業は1単位の授業で、教官の指導を受けながらプロジェクトを進めるという授業です。成績は通常の成績ではなくHonors Creditという特別のものがつくという少し特殊なものでした。僕は教官とのコミュニケーションがうまくいかず、テーマをもらうのが遅れてしまい、プロジェクトを始めたのは締め切りの2週 間くらい前になってしまいました。サンクスギビングの前から教官とコンタクトを取り始めたのですが、教官にプロジェクトの題材をメールで送るのを忘れられ たり、伝言を残しても反応がなかったりなどのトラブルがあり、結局サンクスギビングが終わってからテーマが決まりました。それからほぼ毎日このプ ロジェクトに関して文献を読んだりプログラミングをしたりしていたのですが、頑張った結果、最後には教官にも「時間があまりなかったのによくやったね。」 とほめていただくことができました。ファイナルの時期に余計忙しくさせられましたが、この授業を履修した結果こちらの教官ともつながりができて、最終的に は履修して よかったと感じています。

 この時期はまた別れの時期でもあり、一学期だけ の交換留学生たちや、前述したボランティアグループのメンバーとの別れがありました。しかし、別れを迎えた友人のうちの大多数は韓国、中国、シンガポール などのアジアからの半期の留学生でした。「また会おう」という言葉をかけるとともに、本当にそのう ち会えるだろうなと感じていました。韓国や中国などは飛行機で数時間、当然ですがアメリカよりも日本にずっと近いところにありま。別れはさみしいものでし たが、様々な国に旅行をするような口実ができたというようにとらえることもできます。

友人たちと

(写真2:友人たちと)

 そして授業に関しては、理系の科目を中心に履修をしたので、英語というよりも数学やコンピューター言語がわかる方がずっと重要であったこともあり、あまり現地の学生に対してハンデがなかったのだと思います。最終的に秋学期はGPA 4.0という成績で終えることができました。

冬休み

  冬休みはまずカナダを一週間一人で旅行したのち、ニューヨークで年を越しました。ニューヨークでは同じ時期にニューヨークを訪れていたイリノイ大学の友人 と観光したり、有名なタイムズスクエアのニューイヤーカウントダウンを見たりするなど、すっかりアメリカ最大の都市を満喫しました。

 そして冬休みの最後の一週間は再びASBに 参加し、テキサスでボランティアワークを行いました。今回のボランティア活動はアメリカが抱えている問題の一つであるメキシコからの移民問題について学ぶ よい機会となりました。ボランティア先の団体はメキシコからの移民に対して様々なサービス(銀行、教育業務等)を提供するNPO法 人で、その団体の宣伝や、移民のための家の建設などの仕事に携わりました。滞在した都市もメキシコとの国境のすぐ近くにあり、アメリカではあるのですが、 ほとんどの人々がスペイン語を使っており、英語を話すことができない人も多い地域でした。それだけでなく、気温も日中は30℃近くまで上がり、ヤシの並木が広がっているなど、気候も含めて、同じ国とはいってもシャンペーンとは全く違うアメリカの姿を見ることができました。本当に暖かくて、さすがに少しは寒かったですが、ビーチで泳ぐこともできました。

  近年アメリカの移民対策が厳格になってきており、現在はアメリカとメキシコとの国境の壁の建設も始まっています。このような問題には正直なところ、このプ ログラムに参加するまでは自分とは何の接点もないものでした。しかし、スペイン語しか話さない人とともに働き、プランテーション農場で働く移民の 方々を目の当たりにし、またグループのメンバーとのディスカッションを通して、このプログラムではメキシコからの移民問題について真剣に考えさせられまし た。

  この旅行でもう一つ良かった点は、ウィスコンシン大学の学生たちも同じようなプログラムで働きに来ており、彼らと交流ができたことです。中には日本で短期 留学をしていたという学生もいて、まさかテキサスまで来てそのような人に会うとも思っておらず、大変驚かされました。夜には彼らも交えてゲームを するなどし、他の大学にも友人を作ることができたこともこの旅行の思い出の一つです。

メンバーと

(写真3:メンバーと)

 三か月の間に2度もASBというプログラムでボランティアをさせていただきましたが、このプログラムを通して、アメリカという国をより知ることができたと感じています。

新学期

 テキサスから帰ってきたら、僕はこれまで住んでいたUndergraduate dormitory ISRから、院生寮のSherman Hallに引っ越しました。引っ越しをした最大の理由は、ISRよりも交換留学生たちが多く住むSherman Hallのほうに友人が多かったことです。Shermanに移ってからは、友人と映画を見たり、地下でビリヤードや卓球をするなど、寮生活も楽しんでいます。

 それにしても、先学期の開始の時期と比べたら、今学期は二週間がたつのが早かったように感じます。右も左もわからなかった先学期の開始の時期とは違って、やはり今学期は授業にも英語にもある程度なれていたのでしょう。残すところあと4か月、このままあっという間に過ぎて帰る時が来るのかもしれませんが、思い残すことのないように、興味あることには積極的に参加して過ごしていきたいと思います。

2007 年度イリノイ大学小山八郎記念奨学生

東京大学工学系研究科システム量子工学専攻

八尾泰洋

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田辺夕佳さんの2008年1月分奨学生レポート

JIC の皆様、お久しぶりです。いかがお過ごしでしょうか?シャンペーンは- 1 5℃を下回る厳しい寒さが続いていますが、おかげさまで毎日元気に留学生活を過ごしています。 UIUC にやってきてからあっという間に5ヶ月が経ち、留学生活も折り返し地点に入りました。今回のレポートでは学期後半の学校生活、ボランティア、冬休み、今学期に向けての抱負についてお伝えしたいと思います。

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学期後半の学校生活

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 秋学期の後半に入ってあった大きなイベント、それはハロウィンです。小さい頃に、カナダで何回かやっていて大好きなイベントだったのですが、正直、大学 4年生にもなってやるのはどうだろう、と悩んでいました。しかし、その時期になってくると学校全体がお祭りムードになり、夜にメインストリートを歩いてい る と仮装したマリオとルイージ、猛獣、悪魔、お姫様などがあちらこちらにいて、いつまでたってもイベントを楽しむことを大切にするアメリカ人らしいな、と思 いました。それによって私の迷いも一気になくなって、実際に仮装してパーティーに行ったり、アイススケートのイベントに参加したりしてハロウィンを思いっ きり満喫す ることが出来ました。

ハロウィンパーティ

【写真1:ハロウィン・パーティー】

11月に入り、就職活動のためにボストンに行きました。海外で留学をしている日本人の学生のために開かれる大規模な就活フォーラムがそこで開催されていた ので、大学4年で留学をしている自分にとっては貴重な機会でした。そこでは多くの日系・外資の企業が集まって採用を行うので、私のような時期に留学をされ る 方にはお勧めです。また、インターンの募集もしていたので、就職はまだ・・というような学生の方も行ってみたらよいかと思います。以前留学されていた先輩 方からも勧められていたイベントで、ちょうど、その時期は学校のミッドタームや課題の提出が重なり、かなり慌しかったのですが、行ってよかったと私は思い ます。そし て、それを機に自分の性格、アメリカに来てからの自分の変化やこれからの進路について真剣に考えることが多くなった、という点でもアメリカで就職活動をし たことが自分の留学生活によい影響を及ぼしたという風に感じています。ボストンは大学2年のときに短期留学していた町だったので懐かしく感じると共に、都 会とはいっ てもシカゴとは違う古い建物が立ち並ぶ町並みに改めて感動しました。アメリカの中でも古い歴史が色濃く残るボストンの街並みはこぢんまりとしていて重みが あり素敵な雰囲気が漂っていましたが、会場は日本人の学生で溢れかえっており少し不思議な気分でした。実際は滞在した数日間のほとんどは面接で、観光と いったことは できなかったのですが、面接の合間に買い物をしたり夜にホテルに戻ってから一緒に行った友人と語ったり、ちょっとした修学旅行気分も楽しむことができまし た。

ボストンから戻ってからはすぐサンクスギビング休暇に入りました。秋学期にある唯一の長いお休みなので、その前から「サンクスギビングはどこ行くの?」と いう会話で持ちきりです。実際、留学生のほとんどはアメリカ国内を旅行しますが、アメリカの学生は旅行をするというよりかは、実家に戻って家族とディナー を 楽しむというのが一般的なようです。私はというと、シカゴに住む友達のお宅にお邪魔したり、日本から遊びに来ていた友人とロサンゼルスを旅行したり、と あっという間に過きていきました。お邪魔した友達は、日本語を勉強している中国系アメリカ人の女の子で普段からよく一緒に勉強したりカフェでおしゃべりし たりする仲だ ったので、家族に会えるのをとても楽しみにしていました。実際に、彼女のご家族には本当に親切にしていただき、家族のように可愛がってもらいました。本当 にありがたいことです。こちらに来てから、人からしてもらう優しさに敏感になったように思います。ただ、なかなかそれを留学生としての自分は形にして返せ る機会が少 ないので、もどかしく感じることが多いのですが、彼女が日本に来たら色々と案内して恩返しをしたいと思います。シカゴは学期中に既に何回か行っていたので すが、滞在中、地元の人がよく行くおいしい中華料理屋さんやバーに連れていっていただき、中でも中華街にある有名な飲茶は本場の味といった感じでこってり して絶品で した!そのあと行ったロサンゼルスは、寒くなってきたシカゴに比べたら気候が温暖で、それだけで幸せな気分になることができました。久しぶりに日本の友達 と再会できたこともすごく楽しくて、限られた時間で観光・ショッピングを楽しみつつ、毎日深夜までおしゃべりに没頭することが出来ました。友人と飲茶

【写真2:友人 と飲茶】

そのような楽しい休暇のあとに、待っていたのは怒涛の期末試験でした。期末試験の時期になるとアメリカの学生は勉強に没頭するということは前から耳にして いたのでしたが、それは本当でした。図書館は24時間開いていて、普段勉強しているユニオンにある席も学生でいっぱいでした。一晩中友人と教科書を読み、 レ ポートを書くという生活は日本では絶対に体験できないことであり、周りのピリピリした緊張感の中で集中して勉強することが出来ました。今から思い返してみ ると、昔は一語一句わからないものは辞書で調べて勉強していたのが、量の多さと時間の制限からか、いつのまにか読むスピードや書くスピードが上がったよう に感じます 。そうして学期の最後はあっという間でした。

授業に関して、先学期最も印象的だったのはやはり SPCM101 Public Speaking で した。この授業は前評判どおり、留学生にとっては大変な授業でネイティブとの差を感じることが多かったのですが今思い返してみると、学期の始まりと終わり で自分も大きく変わることができたと思います。そもそも、日本では人前でプレゼンをするということは自分の学部では全くする機会がなく、みんなからの注 目を浴びるということに非常に緊張感を感じ、言いたいことの 10 % も伝えられなかったように思います。しかし、回数を重ねるごとに緊張感もほぐれてきて、丸暗記していたプレゼンも徐々にスムーズさが出てきたのを自分でも 感じることができました。所々で笑いがとれたり、フィードバックで他の人から褒めてもらえたりする回数も増え、学期末には “Most Improved Speaker” 賞 をいただくことができました。プレゼンの前日はパワーポイントの資料作りやリハーサルを繰り返し、かなり大変な授業ではありましたが、やれば絶対ためにな る授業だと思います。また、他の授業と違って、学生同士が話す機会が多く、プレゼンを通して互いのことを知ることができるので、クラスメイトと仲良くな りやすい授業でもあると思います。普段、なかなか留学生以外と仲良くなれるチャンスがないので、このような授業で友達ができることは非常に貴重です。クラ ス以外でも、一緒にコーヒーを飲みに行ったり、バーに行ったりして楽しめる友達ができました。

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 ボランティア

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私が留学を通して、チャレンジしてみたかったことの中には勉強や友達作りのほかに課外活動というのもありました。前回のレポートではスケートについてお伝えしましたが、今回は別のアクティビティについてお話ししたいと思います。

 私は、 YMCA 系列のボランティア団体に所属し、学校でのボランティア活動に携わっています。アメリカではボランティア活動が盛んというようなイメージが元からあったのですが、学期初めにあった Quad Day (日 本の新歓に相当するもの)では実に多くの団体を見つけることができました。日本にいるときにアルバイトでずっと家庭教師をやっていたということもあり、や るなら学校でのボランティアという風に決めていました。留学生で英語が十分には話せない自分は、普段周りの人に教わり、助けてもらうことがどうしても 多くなってしまいます。自分も誰かの役に立てる場はないのか、というように考えた結果たどり着いたのは、子供たちの手助けをする学校ボランティアだったの です。私がカナダで学校に通っていたときは、移民の子供達が多く、 ESL のクラスで多くの時間を過ごしました。ですから、自分もアメリカに来たばかりの ESL にいる子供達のサポートがしたいと思っていました。しかし、この付近の学校には ESL プ ログラムを正式に設置している学校はないとのことで、アーバナにある小学校の2年生のクラスに配属となりました。ネイティブの子供達に、アメリカに来てま だ数ヶ月の先生は受け入れてもらえるのか、少し不安はありました。しかし、その不安は子供達の暖かい歓迎によってすぐに吹き飛びました。

 私のクラスは 22 人 クラスで2人を除いて全員が黒人の子供たちです。また地域としては、低所得者の多い居住区らしく学校も比較的簡素です。でも、子供たちの元気な声でクラス はいつもにぎやかです。元気すぎて自分の席にみんなおとなしく座っていられないようで、しょっちゅう喧嘩が起こっていたり、先生に怒られたりしています が、全く動じないようです。このカオスな状態に初めは動揺しましたが、それぞれの子と話してみるとみんな個性豊かで、すぐに子供たちが大好きになりまし た。甘えん坊の子、いたずらっ子、お姉さんタイプ、マイペース、など様々ですがみんな「ユウカーこっち来てー」と懐いてくれて、私も褒めたり時には叱った りとクラスに 馴染めるようになりました。科目としては、読み書きのクラスのようですが、実際に何をやるかは毎回違ってその辺りは結構適当です(笑)みんなで本を読み、 日記を書く日もあれば、工作をしたり、物理の実験をするといって教科書を投げて摩擦について学んだり・・・と堅い授業とは程遠い自由な雰囲気です。形式や ルールにと らわれずに学ぶというアメリカ式の教育は子供達の自由な創造力を尊重するものだと感じます。また、子供達と接していて感じるのは、子供達の偏見の無さで す。普段大学生と接することがほとんどなのですが、どうしても同じ人種同士で固まることが多く、他との接触はなくなりがちです。ですが、子供達にはそのよ うなことは関 係なく、ネイティブでない私に多くの関心を持ってくれて、いつもオープンです。そのような純粋な気持ちを持つ子供達に、週1回ではありますが癒されると共 に刺激を受けています。

学校の子供たち

【写真3:学校の子供達】

 

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 冬休み

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 冬休みのビッグイベント、それはパリへの留学です。これは、イリノイ大学からの留学プログラムで約2週間冬休みにかけて毎年行われているもので、秋学期の単位に加算されます。 9 月 の下旬くらいに募集があって、8箇所くらいの留学先から選んで応募し、エッセイによって選考が行われます。私は、大学の第2外国語がフランス語だったとい うのと、ヨーロッパに行ってみたかったので迷わずパリに応募しました。出発前に何回かミーティングがありますが、基本的には何も具体的な情報を与えられ ないまま、出発の日を迎えました。どのようなプログラムなのか、ちゃんと友達ができるか、少し不安はありましたが、実際に空港に集まってみると 30 人くらいのグループで、みんなが同じように不安だったことがわかり、そこから一気に打ち解けることが出来ました。

 私が参加したプログラムはパリの移民問題を扱ったもので、一般的な観光スポットを回るというよりは、○○人街をいくつも回り、人種問題についての小説を 読んでその作家にインタビューをするというのが中心でした。毎日、2ページのエッセイを提出し、膨大な課題図書を読むのに時間はかかりましたが、自由時間 を 使って観光を楽しんだり、ホステルに戻ってからひとつの部屋に集まっておしゃべりをしたり、と2週間を本当に満喫することができたと思います。

パリ集合写真

【写真4: パリ集合写真】

 このプログラムを通じて、パリの様々な局面を知ることが出来たのは非常によかったと思います。確かに、市内の建物は豪華で歴史を感じるものが多くありい くらいても飽きることがありません。ルーブル美術館、ノートルダム、ヴェルサイユ、エッフェル塔など、今まで観たいと思っていたものが目の前にあることに 感 動しました。カフェも可愛らしい店構えで、それだけでも写真に撮りたくなります。いたるところに、クレープ屋さんやパニーニ・スタンドがあって食べ歩きも いっぱいしました。そのような、華やかで活気のあるパリですが、この授業ではそうでない面も多く見ました。職を求めてパリに入国してきた、アフリカ、アジ アからの移 民の多くは十分な権利を与えられず、物価の高いパリで非常に苦しい生活を強いられています。印象的だったのは生徒の一人がムスリムでスカーフをまいていた のですが、学校の中で宗教色を出すことを禁じられている学校側と問題になり入場を拒否されるというようなこともありました。「自由」や「平等」という定義 が国によっ て異なるということを痛感した瞬間でした。

  また、この留学でよかったと思うのは、やはり友達が増えたことです。アメリカにいる以上はなるべく多くの友達を作って、ネイティブと英語を話す時間を増や したいと思いますが、やはりイリノイにいると日本人や他の留学生との交流が多いように思います。それでも英語を話していることが多いのですが、パリにい る間はまさに 24 時間英語漬けの毎日でそれは自分にとってとても よい環境であったと思います。ホステルではアメリカ人の女の子とルームメイトになり、おしゃべりしたり、冗談を言い合ったり、本当に楽しかったです。私が よく一緒に行動を共にしたグループというのは、白人のいわゆるソロリティー・ガールズたちで、よくしゃべり 、よく笑うにぎやかな集団でした。夜になると、みんなが私の部屋に集まってひたすらおしゃべりするというのは、あまり人付き合いのない Illini Tower に 住む私としてはとても新鮮で、楽しい時間でした。今までソロリティーに所属する女の子との関わりはあまりなかったので、内輪のパーティー好きで、なんとな く閉鎖的なイメージがあったのですが、それは私の持っていた偏見であって彼女達がとても好きになりました。アメリカのスラングを習ったり、ソロリティー での生活、バーでの常識(笑)など多くのことを教わり、逆に日本にも興味を持ってもらうことができました。留学生という入り口からでなく友達ができて、 戻ってからも連絡を取って会える仲になったことはすごく貴重です。

パリの夜

【写真5:パリの夜】

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 今学期に向けての抱負

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 最後に、今学期についてお話ししたいと思います。イリノイで1年間を過ごすに当たって、自分がより成長するためには、様々なバックグラウンドを持つ人と の交流を通じて英語力を上げるだけでなく、人とのコミュニケーション全般で自分を見つめ直すということが非常に大切だと感じました。自分が学んでみたいと 思 っていたことに挑戦するのも、先学期に引き続いての目標ではありますが、それと共にいろいろな人とじっくり関われる環境に身を置くことも重要だと感じてい ます。そのために、今学期は、以前から関心のあった経済学の授業以外に、アクティビティの授業も多く履修しています。

ECON202(Economic Statistics)

ACE210(Environmental Economics)

SPCM321(Persuasive Speaking)

DANC199(Balinese Dance)

KIN104(Ice Skating)

MUS261(Black Chorus)

 上の二つは講義とディスカッションの大人数授業ですが、それ以外の授業は学生同士の交流が多くはかれると思って楽しみにしている講義です。詳しくは次回 のレポートでお伝えしたいと思います。留学生活もあと4ヶ月、イリノイでの生活を思いっきり楽しもうと思います。こ れからも JIC の皆様の温かいご支援よろしくお願い致します。

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東京大学文学部4年
University of Illinois at Urbana-Champaign
田辺 夕佳 (たなべ ゆうか)
yuuka_tanabe@hotmail.com
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長谷川貴也君の2008年1月分奨学生レポート

  JICのみなさま、ご挨拶が遅くなってしまいましたが、明けましておめでとう ございます。今年もよろしくお願いいたします。

前回のレポートを書いてから早3ヶ月が過ぎました。その後もアメリカで多くの経験をさせていただいておりま す。振り返ってみると、初回のレポートまでの期間以上に早く、時間が過ぎていった気が します。その間キャンパスを出たのは2、3回程ですが、多くの人と出会いがあり、この街を去って行く人との別れも多くありました。今回は11月から現在までを振り返り「秋学期の授業」「サンクスギビング、冬休み」「housing」につい報告させていただきます。

「秋学期の授業」

10 月のレポートでも述べたように、英語の面で苦労する場面が多く、授業の理解力も科目によりバラつきがあったのですが、無事乗り切ることができました。口頭 での説明が中心で、テキスト、レジュメをほとんど使わない授業はテスト前まで理解に苦労しましたが、最後は同じクラスの人と勉強会を開き、なんとかクリ アできました。普段、英語に苦労している割に勉強時間は他の学生程しかなかったため、最後は体力勝負で追い込んだという感じです。試験期間は寮内の売店で 販売されている栄養ドリンクをどれほど飲んだかわかりません。新学期はこの徹夜癖を直すことが課題です。ただ、英語に苦労したとはいえ、留学初期と比べる と格段にコ ミュニケーションできるようになったこと、教授やTAのサポートがしっかりしていることもあり、渡米直後に感じた不安は杞憂に終わりました。

Housingについて」

今セメスターも秋と同じくPARに 住んでいます。この寮は2人部屋で、オーストラリアからの留学生であるルームメイトが秋学期で帰国するために当初は引越しを考えました。ルームメイトが欲 しかったこと、学部寮のドームフードに飽きたこと(学部生はミールプランを買わなければなりません)、同世代の学生と交流したいと考えたこと(学部寮はほ とんどがfreshman)が主な理由です。その上フロアのRAが突然辞めてしまったため、一時期フロアは人種間での交流もあまりなく、無法地帯のようでした。ただ、せっかく仲良くなった寮の友人達と別れたくないのと、新学期には新しいRAが 来ると言うことで結局、同じフロアに住む韓国系アメリカ人と住むことにしました。しかし、その彼が母親の看病のため今学期は休学し、地元のコミュニティカ レッジに通うという決断をしました。別れはあまりにも突然で寂しいものでしたが、17歳にも関わらず、父親が海外で働いており、兄弟もまだ幼いからという ことで、自分で決断して休学をする彼の行動力は立派だと思います。結果またしても一人部屋となってしまいましたが、短い留学生活の中で、2人の良いルーム メイトと出会うことができ本当に幸運だったと思います。これからは一人部屋ですが、これもまた良い経験と思い新生活を楽しもうと思います。このレポートを 読んで、PARは環境が良くないのかと思われる方がいるかと思いますが、交換留学生として生活する分には恵まれた場だといつも感じます。

ドミトリー

ドミトリー

「休暇について」

サンクスギビング休暇は、旧友であり、今年からイリノイ大学に大学院生として留学している日本人kenzo,テ キサス州ダラスに住む友人の家を訪ねました。3人とも元々知り合いであったためリラックスして過ごすことができました。友人の家族と共に本当にのんびりと 過ごしました。感謝祭当日はターキー等の食事を昼過ぎにし、ターキーコマで眠りに落ち、翌日朝4時からのブラック・フライデーに備えました。これは、感謝 祭(11月の第4木曜日、Thanksgiving)の翌日のことで、1年で最も盛大なショッピングの日となります。調べてみたのですが、なぜブラック・フライデーというのかは諸説あるようです。夜明けごろにも関わらずbest buy の前には大量のひとが並び、日本の初売りのような感じでアメリカ人の生活を垣間見た気がしました。普段キャンパスにいると気付くことのない、アメリカ家庭の生活をサンクスギビング休暇中に初めて体験できました。その他JFKミュージアム、Fort Worth Stock Yardsなどの観光地にも行きました。ダラスは日本から観光としては行く機会が少ないかも知れませんがJFKミュージアムは特にオススメで、ケネディ大統領暗殺の銃が放たれたビルがそのままミュージアムとして利用されています。

ダラス

冬休みはNYにいる友人宅でお世話になるため、ひとりアムトラックでNYを目指しました。Pittsburgでの乗り換え含めて約20時間の道のりはファイナル期間の疲れがあったのか、隣の乗客が日本の歴史に興味があるらしく話していたためあまり退屈せずに到着することができました。この時期のNYにはイリノイからもInternational studentが多く訪れていて何人かと会うことができました。JICの奨学生もタイミングは違うものの全員が冬休みにNYを訪れていたようです。寮の閉鎖期間、International studentは一時帰国かアメリカ東部か西部に分かれて旅行する人が多いようです。目的地は同じでも、レンタカーで行く人、カナダや南米を経由してから行く人などいて、新学期に話をしていて冒険心を大いに刺激されました。NYに10日程滞在した後そのまま就職活動のため日本に帰国しました。10日程の滞在でしたが、新年を日本で迎えリフレッシュもできました。

ニューヨーク

「新学期に向けて」

今学期は授業についていく自信もだいぶついたため、興味分野を掘り下げて学ぶことにしました。履修したのは

  ESL110/ oral, pronunciation

  SPCM101/ Public Speaking

ACE241/Food and Agribusiness Mgt

ACE232/ Management of Farm Enterprise

ACE427/Commodity Price Analysis

で、計16creditです。ESLrequiredで ないため単位が得られないのですが、パワフルな教師から大量の課題が毎日出るため、先学期よりも忙しくなりそうです。敢えて今学期に発音のクラスを履修し たのは、音の種類を意識しないまま生活しているだけでは改善しにくいと考えたからです。先学期は英語力の無さに直面し、英語力UPの ために対策を自分なりに研究した結果、当初に比べれば格段の進歩があったとは思います。それでもまだ日常生活ではついていけない事が多くあります。今学期 はウォルマートで新たにテレビを購入しましたので、映画などからも学んでいけるのではないかと密かに期待しています。(とはいうものの今のところ毎日 < /span>ESPNでスポーツばかり観ています。)その他はスピーチ+ACE(Agricultural  Consumer Economics)3クラスを履修しました。商品作物の価格予想を行なう授業は学生のレベルも高く、元々興味のあったtopicなので毎回勉強になっています。世界的にも最大規模のcommodityを扱うシカゴ取引所に近く、イリノイのとうもろこし畑に囲まれ、ACEを学ぶロケーションとしては本当に最高です。個人プロジェクトの課題でフードビジネスの経営者に半日インタビューするという企画もあり、これから忙しくなりそうです。また、授業に加えて今学期はサッカーワールドカップ、Japanese coffee hourにも参加していく予定です。前回は予選敗退という結果でしたが、今季は優勝を狙っています。平日のCRCEで行なわれるpick up gameに来る学生は本当に多国籍で、おもしろい出会いも多いので引き続き参加する予定です。

2セメスター目となり、生活にも慣れてきましたが、これからは更に速く時間が経って行くのだろうと思います。今後ともご支援よろしくお願いいたします。

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長谷川 貴也
ggscd833@yahoo.co.jp

八尾泰洋さんの2007年10月分奨学生レポート

JIC奨学生の八尾 泰洋さんからの2007年10月分奨学生レポートをお届けします。

八尾さんはコンピューターサイエンスの授業に熱心に取り組む一方で、ASBというボランティア団体に所属して勉強会や募金活動にも参加しているようです。 募金を集めるために、自分達でクッキーを焼くいうのもアメリカならではかもしれません。それでは、八尾さんのレポートをお楽しみ下さい。


JIC の皆様こんにちは、いかがお過ごしでしょうか。早いものでイリノイ大学に来てからもう二ヶ月が 以上たってしまいました 。10 月の半ばまでは半そでで平気なくらい暖かかったのですが、最近は風も冷たくなり、冬の到来を感じています。 今までの留学生活を一言で総括すれば、「よく学びよく遊んでいる」というところでしょうか。聞いていたとおりほとんどの授業では毎週宿題の提出があるので 否応なしに勉強しなければいけない環境なのですが、それでも特に週末ともなるとほかの学生達に巻き込まれてバーに繰り出すなど、せわしない毎日を過ごして います。八尾君勉強中?授業について今学期はCS231 Computer Architecture 1, CS273 Introduction to Theory of Computation, CS421 Programming Language & Compiler, CS296 Honors Course, ESL115 Academic Writing と、自分の将来に役立てることができるような授業をとりたいと考えて履修をした結果、結局コンピューターサイエンスずくしのようなカリキュラムになってし まいました。しかし、コンピューターサイエンスで有名なイリノイ大学でこれだけの授業を取ることができ、カリキュラムには満足しています。

中でも 一番印象的な授業はCS421 です。この授業は大学院の学生とも合同の授業で、授業中は前のほうに座っている大学院生らしき学生 が先生に常に質問を投げかけている熱い雰囲気の授業です。しかもこの授業はこの範囲をカバーしているテキストがないということで、授業中の先生のスピーチ を理解しなければならず、留学初期に は 聞き取ることができないまま 授業がどんどん進んでいき、ドロップすることも考えました。しかし、イリノイ大学ではエンジニアリングの大学院生用の講義は授業のビデオをインターネット を通して見ることができるのを知り、 9 月の半ばくらいに24 時間営業のグレンジャーライブラリに飛び込みそれまでのほぼ全ての授業を繰り返し聞き取れるまで見直しました。これによりきちんと聞き取れれば理解できる ということがわかり、それからは授業を受けたあとにわかるまでビデオを見るようにしました。そうして迎えた初め八尾君勉強中てのミッドタームは 100 点中99 点。先生の言っていることを全て理解しようと集中してビデオを見ていた結果、ほかの学生が聞き逃していたようなことも聞き取っていたのかもしれません。ま だ一回テストがあっただけなので両手を離して喜ぶわけにはいきませんが、これからもこの勉強方法を最後まで継続していきたいです。そしてもうひとつ この授業で 印象的な点は、授業を一緒に受けている留学生たちと仲良くなったことです。最近では授業後に一緒にご飯を食べたり宿題をしたりするのが恒例になっており、 ドロップしなくて本当によかったと感じています。

イリノイ大学について

小さな町だからでしょうか、ここでは皆大学の中で生活をしているという印象を受けます。授業の合間にユニオンに友人たちとバーにて騒ぐ行 けば多くの学生がおり、ドームや大学の近くのレストランで食事をし、週末には皆大学のすぐ近くのバーに繰り出し、図書館では 24 時間学生たちが勉強をしています。皆遊ぶ場所も勉強する場所も同じなので知り合いと会うことも多く、一週間会わなければしばらく会っていなかったような感 覚を覚え、実際「久しぶり」と挨拶をしたりもします。東京で大学生活を送っていたときは、大学から離れたところに住んでいる学生も多く、皆遊ぶ場所もばら ばらだったので、休日に知り合いに会うことなどまれでしたが、こ こ ではどこかに行けば まず誰かに会います。

このような環境だから か、学生たちがつながっているような印象を受けます。例えば僕はASB (Alternative Spring Break )という長期休暇にボランティアトリップをする団体でThanksgiving 休暇とWinter Break にオハイオとテキサスに行くのですが、そのグループで出会った学生たち の中には友達の友達、友達のルームメイト、バーで会う人など多くの学生と誰かを通してつながっていて 本当に驚きました。それもよく考えてみれば皆同じ場所で生活をしていて、遊ぶことも主に話すことという大学内の知り合いができやすいこの町ならではの特徴 なのだと思います。その反面、遊ぶ場所やすることはさすがに限られていて、毎週同じ ような ことばかりをしているのです が、僕はこの小さな町が気に入っています。

課外活動について

上にも書きましたが、僕はASB という団体のボランティアグループに所属しており、秋休みと冬休みにはボランティアトリップに行きます。さらにこの団体では休暇前から様々な活動があり、 週一回のミーティング、募金活動、スカベンジャーハントなど、そして二つのグループに所属しているので、これらがすべてが 2 倍になっています。ミーティングは主に勉強会のような感じで、自分たちのボランティアに関わる新聞記事などをみんなで紹介しあい、意見を述べたりしたりす る形式になっています。授業とは違って先生がいるわけではないので、その分皆率直に自分の意見を述べているような印象を受けます。 当然僕にも発言が要求されるので、自分なりに本を読むなどして勉強をしています。Winter TripはImmigration and labor rights というテーマでテキサスに行くのですが、この問題は今まで自分にはなじみが全くなく、最初は発言も億劫でしたが、メンバーの優しさにも助けられ、最近はメ キシコからの移民に関する文献を読んで勉強をし、少しずつですがまともな発言ができるようになってきていると思います。

そして 募金活動はまずクッキーやブラウニー を焼くことから始まります。こちらでは募金をしてくれた人にはお返しにお菓子などを提供する風習があるようです。クッキーを最後にいつ焼いたかもわからな い僕にとっては、 10 人ぐらいのメンバーで話しながら お菓子作りをしたことが大変新鮮でした。さすがに風が冷たい中の募金活動は楽しいというわけにはいきませんでした。発音がうまくできていなかったみたいで 人が近づいてきて募金をしてくれるのかと思いきや、「何を言っているのか」と尋ねられるなどということもありました。しかし、皆で募金活動をすることでメ ンバーの一体感が増しましたし、生まれて初めての経験だったので、これはこれでよい経験です。

寮について

僕は ISRというUndergraduate Resident Hallに住んでいます。部屋は三人部屋で一カ月程度韓国系アメリカ人の学生とアメリカ人の学生と三人で生活をしていたのですが、韓国系アメリカ人の学生 はシェアマンホールに引っ越してしまい、今は二人部屋になっています。奨学生の方々から聞いていた通り、ISRはほかの寮よりは静かな寮です。 PARに住んでいる友達は夜中に奇声が聞こえると言っていましたが、ISRではそのようなことはまず起こりません。静かなところはよいところでもあるので すが、寮の中で知り合いができにくいことも事実だと思います。

ゆうやけしかしなんといってもこの寮の良いところはキャンパスに近いというところ です。特に僕のとっているコンピューターサイエンスの授業はノースキャンパスで開かれるので ISRからは歩いて数分で行けるのですが、ほかの寮からだとかなり行くのが大変だと思います。そして、ISRは Green Streetに面していて数分歩けばバーが立ち並ぶ地域に行けるので、どこかに遊びに行くのには最適な立地です。寮の中で遊ぶということはあまりありませ んが、この立地のおかげで外に出かけることが多くなっているように感じます。

最 近ではすっかり生活にも慣れてしまって、毎日当たり前に授業に出たり友達と話したりしていますが、数か月前の自分とはかけ離れた生活をしている自分にふと 気づき、自分は本当に幸せ者だと感じることがあります。このような素晴らしい環境で勉強する機会を与えてくださった JICの皆様には本当に感謝しております。これからもより留学生活を充実させていけるように、精一杯毎日を過ごしていきたいと思います。

2007 年度イリノイ大学小山八郎記念奨学生
東京大学工学系研究科システム量子工学専攻修士一年
八尾泰洋