室賀三郎先生は,2009年12月9日に米国カリフォルニア州オークランドの病院で逝去されました.84歳でした.心よりご冥福をお祈り申し上げます.

室賀三郎先生は1954年に渡米され,1964年から2002年8月までの38年間イリノイ大学アーバナシャンペン校で教鞭をお執りになりました. この間,日本からの多数の留学生や,大学や企業等の訪問者の方々をご指導下さいました.その後2006年に先生がカリフォルニア州オークランドへお住まいを移さ れた後も,2008年の8月には情報処理学会の歴史特別委員会の皆様によるオーラルヒストリーのインタビューに対応していただく等,我 が国のコンピュータ産業界の父としての存在感は変わることがありませんでした.こ れまでの室賀先生のご恩に感謝し,お別れを申し上げるため,2010年3月28日(日)に東京・神田錦町の学士会館にて「室賀三郎先生を偲ぶ会」を開催いたし ました.
当日は,室賀洋子様とご長男の室賀英輔様にご参加いただいた他,先生にお世話になった70名の皆様にご参集いただき,盛大な会となりました.
偲ぶ会はJIC原会長による開会の辞に始まり,ILLIAC IV開発時代(1966年~)より先生にお世話になった 加藤満左夫様の献杯を経て,室賀洋子様からご挨拶のお言葉をいただきました.その後,思い出の写真をスライドショー形式で上映した後,参加者の皆様に先生 の思い出 を語っていただきました.
思い出の中には,先生の指導の厳しさに関するものが多かった一方,留学に際して推薦状を書いていただいたり,現地での生活立ち上げ時に多面的なサ ポートをしていただいた思い出に関するものが多く,改めて,先生の優しさに感じ入る参加者の皆様が多かったのではないかと思います.また,先生は我々日本 人の留学生に対してだけこのようなサポートを行っていたわけではなく,中国等からの留学生に対しても同じであったというお話しもお聞かせいただきました.
また,2000年以降に留学して先生のお世話になった方にも多数参加していただきました.先生の退官直前にLogic DesignとIntroduction to VLSI の講義を受講した方にも,思い出を語って いただきました.1990年代以前に先生のお世話になった多くの方々は,若い世代にまで先生のご遺志が受け継がれていることに,安心なさったことと思われます.このように,世代を超えて大切なことを共有することができる機会を提供できる,それが同窓会の良いところなのかもしれません.
「室賀三郎先生を偲ぶ会」の心は,今後も毎年7月に実施するリユニオンパーティ等で受け継がれていくことでしょう.
