2004年11月8日室賀先生からの礼状届く

2004年11月8日,イリノイ大学名誉教授の室賀先生から、JICの原会長と会員の皆様に,平成16年度春の叙勲記念品贈呈に対しての礼状が届きました.

イリノイ大学日本同窓会会長 原さん

大変遅くなりましたが、お祝いのお言葉と記念品を頂いて恐縮しております。シカゴの領事館の前総領 事の坂場三男さんが推薦して下さったのですが、非常に判りにくい分野での研究ですので説明が難しくて苦労しました。その後長期にわたり担当された領事の折 橋正樹という方が日本の本省に対し根気よく説明戴いたおか げです。

Googleで “Saburo Muroga”、或は“室賀三郎”と打ち込むと英語と日本語の二通りのデータベースが出て来ます。内容もかなり違います。“Muroga”、或は“室 賀”と姓だけを打ち込むと私に関する前に最初に映画監督の室賀厚、次に室賀不動産、室賀温泉、室賀絞会社など一杯出てきます。訳の判らない研究などやっ ている穀潰しの研究者よりはるかに社会には重要なのだということのようです。

1960年にアメリカのIBM Research Centerに移るまでNTTに1950年から十年位居ましたが、その間1954年にイリノイ大学に半年留学しIlliacをふんだんに使ったおかげで 当時日本では知られなかったコンピュータ技術を講義やら雑誌や本に書きまくり、1990年代の日本の情報産業の立ち上げに走り廻ったことも功績に入ってい ますが、面倒を見た学生が成功しているのを見るのは大変うれしいです。Dell、SGI、Sunの副社長になったのもいますが、最近では世界第二の委託半 導体チップ製造会社のUnited Microelectronics Corp. (UMC)のCEO になった学生もおり、Wall Street JournalやNew York Timesに時折その学生の名を見るのは楽しい限りです。

昨年5月に神田学士会館でやって頂いた記 念退官の会合では何と150人の方々にお出で頂いたのは感激でした。最後にお会いしたのが50年前という方々も多く、私はその全部の方を知っている筈が最 後にお会いしたのが50年前ということになるとお互いに誰だか判らないという人々が半数位ありました。長い列を作って御挨拶を頂くということになったた め、待ち切れなくて途中で帰られた人々も多く、私としては御礼状の差し上げようもないという申し訳のないこ とになりました。

日本には叙勲のため5月7日から20日までいました。今年1月2日に前立腺を削り取る手術をし、手術の時に前立腺に癌があることが判り、9週間X線の 照射を毎日(週末を除き)7月末まで受けましたが、今は殆どもとの健康状態に戻りました。

ひとまず御礼まで。

中山 明子さんの2004年度10月分レポート

JICの皆様

岡 沢(LAS02-03)です。今年度奨学生の中山明子さんからのレポートが届きました。シャンぺーンは初雪も降り、本格的な冬が来たようです。今週いっぱ いはサンクスギビングで学校は休みのため、キャンパスはとても静かですが、学校が始まればまもなくファイナルが始まります。忙しい時期ですが、体に気をつ けてお過ごし下さいね。

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2004年度10月分レポート
中山 明子
東京大学 教養学部 基礎科学科 3年
専攻分野 医学、マイクロバイオロジー
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JICの皆様長らくお待たせいたしました。今年度UIUCに留学させて頂いております中山明子です。イリノイは言うまでもなく、東京の方も日に日に寒く なっていると思いますが、いかがお過ごしでしょうか。イリノイに初めて来た日からもう3ヶ月経ちましたが、本当にいろいろなものを学びました。

最初着たときは毎日新鮮だったものの、9月10月と進むにつれ、ホームシックにもかかるようになりました。というのも着てから御飯以外は自分のことは全て 自分でやらなければいけなかったので、親とほぼずっと一緒にいる人生を送ってきた私にとっては少しシゴキのようでした。いつもは何気なく横に居てくれてい る親の有難さが身に染みるほど分かった時期でした。今はというと勉強の習慣があまりついていない自分に、大学受験以来鞭打って毎日しっかり勉強をするよう にしています。

こちらに来てまず最初にぶち当たったのが英語の壁でした。英語が通じないことで普通の自分になれない、いつもは簡単にできことができないというスランプの 状態に何度も陥ったりしました。気持ちやジェスチャーで通じるとはいえ、How are you?を小声で、しかも速く言われると、Ha? Excuse me, but what did you say?と返されては、どんなに友好的なアメリカ人の方も話をする気力を失ってしまいかねません。ちなみにこれは私がよくやるとても恥ずかしい間違いで す。今はその教訓を生かして、ただ話を聞くだけではなく、毎日話すよう自分に言い聞かせています。授業ではいくら勉強しても勉強しても、他の普通のレベル の子に追いつかないときもあってとても苦しみました。そんなときは他の留学生3人と集まってお互いの状況を話したり、慰めあったりして、本当に助けられま した。普段は言えないけど、本当にありがとうとみんなに心から言いたいです。

ところで、私は医学専攻ですが、解剖の授業は私の居た日本の大学では医学部生しか履修ができません。しかしこちらに来てやる気があれば解剖の授業、しいて はどんな授業でも教授と話せばほぼ取れることにとても驚きました。交換留学生の特権でしょうか。Functional Human Anatomyは300番台の授業とは言え、本当に大変でした。これは24時間勉強しても満点はは取れないのではないかと思うくらいです。ほかにはESL とラテン語の授業などを取っています。ラテン語は魔法のような言葉で、これを学ぶことを通じて英語も学ぶことができ、難しい英単語や、スペイン語、フラン ス語、イタリア語などのWestern Languageの単語の意味も推測できたりするそうです。おまけに医学用語がほとんどラテン語なので、私にとってはまさに一石二鳥。生涯通してラテン語 に親しんでいけるような教養人にでもなれたら、教養学部に行ったのも無駄ではないかなと思っています。

つい先月J-netというクラブの主宰するJapanese Fashion Showに、恥ずかしながら浴衣モデルとして参加しました。浴衣の着方をきちんと教わったのは初めてですが、それを通して日本文化に興味のある多くのお友 達と仲よくなることができました。また、改めて日本文化の素晴らしいところを見つめなおすことも出来ましたので、とても満足しています。ほかには JCT(Japanese Conversation Table)という日本語を通して仲良くなろうというクラブにも顔を出すと、日本語を勉強しているアメリカ人の方々などその他多くの友達をもそこで作るこ とができました。以前はアジア人でない方を見ると一体この人はどんな事考えているのだろうと、相手の目も見ずに恐る恐る話しをしていましたが、今考えると それは本当に失礼で、恥ずべきことだと思いました。こちらに来てからは、人種や文化問わず、みんな考えていることやほしいものは自分とまったく一緒で、人 類はみんな兄弟という事を改めて実感しました。これからは誰にでも心を開いて、こころの交流ができるようにしたいです。

ほかやっている事と言えば、週に3回朝早く起きて走っています。以前スポーツに縁のなかった自分が今は飽きずに、毎回30分から1時間くらいランニングが できるのはやはりアメリカの風土のせいなのかと興味深く思います。ずっと応援や激励をとばしてくれる彼にも感謝したいと思います。私の好きなランニング コースは、住んでいるFARからリンカーンアヴェニューをさらに南まで走っていくと、VetMedの牛舎や林が見えて、UIUCキャンパス南側の全景を一 目で見れるWindson Av.を通るコースです。汗ばんだ体を冷たい風が通り抜けるのを本当に気持ちよく感じつつ、さわやかさな朝をいつもエンジョイしています。もうすぐ雪が降 りそうなくらい寒いイリノイですが、朝早く走っているとMorning!と笑顔で言ってくれたり、お前はこんな寒い中走るなんてクレイジーかという目で見 られたりして、本当に人々の模様が面白いです。雪が積もって走れなくなるまではとりあえずがんばって続けようと思います。

他に面白いルームメイトのお話や、私の住んでいるLiving . Learning Community WIMSEのお話もありますが、また次回のお楽しみということにします。最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました。

色々とご心配かけて本当にすみませんでした。今やっと毎日何が起こっているのか認識できるまでのしっかりさんになりましたので、これからは始めの頃の目標 や、おもしろいことにどんどん挑戦していこうと思います。では、とてもとても早めのご挨拶ですが、皆様に素敵なクリスマスとよいお年が訪れますように。ど うぞご自愛くださいませ。

中山 明子