武田麻美さんの2001年6月分レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。私は今、シェアマンホールの11階から見渡せるシャンペ―ン南一面の夜景を横目に最後 の報告書を書いているところです。夏季講習受講のため、すぐに移動してきたこの寮、特にこの部屋から見える夜景は涙がこぼれてきそうなほど、素晴らしいも のです。地平線の見えるのどかなこの風景をこうして見ることができるのも、あとわずかと思うと、去年の8月から今までの間の、数え切れないほどの経験や試 練、楽しかった思い出などで気持ちがこみあげてきます。慣れない外国での生活から、授業登録での苦労、授業への準備、徹夜で書きあげたレポート、英語での 初プレゼンテーション、テスト勉強、プロジェクト、経験したことのない厳しい寒さ、あんなに夢みていた留学がこんなに大変なものかと、いつ逃げて帰ろうか と何度考えたことでしょうか。でも、その反面、忘れられない貴重な経験も沢山できました。 思いがけないチェコスロバキア語の教授やクラスメートとの出会 い、様々な国からの学生との出会い、彼らといった旅行、ボランティア活動や教会で得た仲間達やその思い出、忙しい日本の生活ではできなかったであろうこれ らの貴重な経験は一生忘れられません。今は、もう帰国する時期が来てしまったのかという思いで、信じられない気持ちで一杯です。

さて、夏講座の様子の報告も含め、こちらイリノイ大学からの報告はこれで最後となります。(五月で授業が終わった時点ですぐに報告書を書こうと思っていたのですが、慌しく時が過ぎ、帰国が近くなってからの最後の報告となってしまったことをお許しください。)

春 学期終了後は、ほとんどの学生達が実家へと帰ってしまいました。親しくなった友人達との別れは辛かったのですが、夏は夏での出会い、また授業履修を通して の興味深い経験をしています。現在は、普段の授業とは一味変わった雰囲気の中で授業を受けています。(キャンパス内は学生が少なく、非常に静かです。) 一ヶ月の間に、半年分の授業を短縮してやり遂げるという、かなり大変な授業を受講中です。毎日午後、3時間をたっぷりと使い、もうスピードで授業が展開さ れます。私のクラスは、ファイナンスです。理論を学んだあとには計算問題を解かされ、解けるまで帰れないというスタイルです。また毎週木曜日にテストがあ り、もう気を抜いている暇はありません。インターナショナルスチューデントにとっては言葉の面でかなりきついとおもいます。この速さについていく自信がな く、落として帰ろうと思っていたのですが、クラスは小人数のためアットホームで講師とは親しくなることができ、問題学生の私にも協力的だったため、最後ま でがんばることにしました。講師自身が外国(アフリカ、コンゴ)出身なので、言葉の面での理解もあり、安心して授業を受けることができています。アメリカ へ来てすぐの失敗談やアフリカ文化の話しなど、面白い話しなどで授業を盛り上げてくれる講師で、授業へ行くのが非常に楽しみです。

またこ の間、授業と並行して、ドライビングスクールでレッスンを受け、自動車免許を取得することもできました。練習で、キャンパス内や周辺、隣町までドライブを しているうちに、この周辺の地理も全体的に把握できるようになり、また新たな発見も多くあり、始めから車があったら生活も随分違っていただろうなと感じま した。ハイウェイを70マイルで運転するという、初経験もすることができました。

今は、帰国を来週に控え、引越しセールをしたり、箱詰め をしたりと慌しく、帰国の準備をしています。引越しセールでは思っていた以上にすんなりと多くのものが売れました。時期的にもちょうど院生の学生達が入っ てくる時期で助かりました。日本人の持っているものだったら、長持ちするので安心なのだといって、多くの物を喜んで買っていったのには驚きましたが、非常 に嬉しかったです。

この一年を降り返ってみれば、本当に何もかもがあっという間に過ぎてしまったという感じがしてなりません。私の場合、 日本の大学は休学中、しかも帰国後もこちらの単位は移行されないため、渡米前からそして現在に至るまで、休学をする意義や将来への心配事は数えたら限があ りませんでした。しかし、別の意味で生涯忘れられない、充実した一年となりました。自分自身に自信がついたような気がします。渡米前の準備、こちらの生活 のスタート、大学の授業、ストレスのたまることもしばしばありましたが、さまざまな試練によって、精神的にかなり強くなれたような気がします。なぜここま でして、大変なことをしようと思ったのか、何度も自分の選択に疑問を持ったことがありましたが、渡米直後にJICのスタッフの方から頂いた励ましの言葉、 若いうちの苦労は買ってでもするべきだ、という趣旨の言葉をモットーに、何があってもこの一年は決心した以上、がんばるぞと思った瞬間がつい昨日のことの ように思えます。

こちらの大学の授業で学んだこと、教授やクラスメート達との出会いは、一生の宝ものです。また、こちらの生活を通して学 んだ英語は、これからも大切にし、ずっと勉強し続けていきたいと思います。ここでの経験はたった一年近くの経験でしかありませんが、言葉では言い表せない ほど、一年以上分の意義のあるものとなったと確信しています。自分を見つめ直すチャンスとなったとも思います。このような経験ができたのも、JICの奨学 生として選んでいただいたお陰です。また、それ以後の準備など、多くの皆様の協力やスタッフの皆様の影ながらの協力があったからこそできたものです。本当 に感謝の気持ちで一杯です。ありがとうございました。これらの経験を通し帰国後は、今後の、奨学生の方達のため協力し、またJICへ恩返しをしたいという 気持ちで今は一杯です。この一年間、本当にお世話になりました。そしてこれからもどうぞ宜しくお願い致します。

6月2日

武田 麻美(東京外国語大学3年)

武田麻美さんの2001年2月分スペシャルレポート

おとといは雪であんなに寒かったのに、今日は信じられないくらい暖かく、今朝から雨と雷です。気候の変化は相変わらず激しいものの、先週ぐらいから急に暖 かくなり始め、春の予感はしつつあります。今日の気温は、最高16℃最低6℃です。平均的に気温は高くなりました。冬のコートを着て少し歩くと、蒸し暑い という感じさえ少しします。日もだいぶ長くなったのではないでしょうか。5時過ぎでもだいぶ明るい感じがします。イリノイ大学にも春がもうすぐだと思いま す。こちらの学生が口々に、春のキャンパスは最高よ!キャンパス内の芝生はまるでビーチのようになるのよと言っているのを聞くと、春が待ちどうしくてたま らないです。それにしても、気候の変化の激しさには体がついていけません。今は風邪がキャンパスないで流行っています。学生も欠席しがちになり、私の授業 では教授自身までもが風邪でダウン、休校にするわけにはいかず、苦しみながらも教えてくれるという状態です。

気分的にも天候に振 り回されてしまいがちな毎日ですが、それにも負けないように楽しみをちょくちょくと見つけては、気分的にリフレッシュしています。私の週一度の楽しみは、 コスモポリタンクラブの集まりです。こちらにいらした皆さんはご存知かもしれませんが、毎週木曜日の7時半から9時半、シャンペ―ンのジョンストリート、 キャンパスのユニオンからあるいて、5-10分ぐらいの距離にある民家(白い家)で行われます。毎週、その週を代表する国の料理や文化が紹介されま す。(ちなみに先週はロシアでした。)料理は立食できる程度の簡単なものですが、その横でその国の音楽や歌が披露されます。今学期はインド、シンガポー ル、トルコ等がありました。日本の日も近づいています。

留学生の数が多いせいか、毎週コスモポリタンは多くの学生で賑わっていま す。各国から来て学部で学ぶ学生、短期の交換留学生、日頃研究に没頭している院生達も、皆この日を楽しみに息抜きに来ている感じです。また、外国に興味の あるアメリカ人の学生達も混じっています。留学生同士、共通の悩みというのも話し合えますし、情報交換の場として私は気に入っています。世界各国からの様 々な学生と出会え、お互いの国を知ることができると言う意味で、私はこのクラブの集まりが楽しみで仕方がありません。

その他、キャンパス内にもそれ以外でも面白い活動や楽しい出会いが沢山あります。大学の新聞The Daily Illini には大抵、キャンパス内で行われる、イベントや講義などのスケジュールが乗っているので、面白そうなのを見つけては息抜きに出かけています。

こ の間は、映画「パッチ・アダムス」のモデルとなった、パッチアダムス本人が学生寮にゲスト滞在しており、話しを聞くチャンスがありました。私はあの映画す ごく感動したので、本人に会うことができ非常に感激しました。映画の通り、本人は非常に変わった人でしたが、人を楽しませるのが本当に好きなのがわかりま した。格好からして、医者という感じは全くなく、全くのピエロでビックリしました。パッチの価値観、人生観からして私にとっては非常に興味深く、とにかく 人間は人生笑って楽しまなくてはいけない、この世はなんでもパラダイスだという話しには元気づけられました。また、今問題となっている人と人とのつながり やコミュニティーの大切さについての話しは印象的でした。そんな彼がピエロの格好をして、各地へ赴き、このような講演を通して人を元気づける活動をしてい るというのにはとても納得する点がありました。講演の終わりには、学生の質問への応答、映画ができるまでの裏話など、貴重な話しが聞けることができまし た。またバレンタインの日だったので、ラブポエムも披露してくれました。

課題に追われ、遊ぶ暇がないほどの忙しい毎日ですが、こんな人との出会いを楽しみに、こちらの生活を楽しんでいるという感じです。都会でないだけ、素朴な楽しみぐらいしかありませんが、私はこの生活も結構気に入っています。

武田 麻美(東京外国語大学3年)

武田麻美さんの2001年1月分レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。お元気でいらっしゃいますか。

こちらイリノイ大学は、一ヶ月近くの長い冬休みを終え、後期に入ってから3週間近くが経ちました。休み明けは、またもやの大雪と発電所の火事が原因による 大学全体に渡る停電とが同時に重なるというハプニングに見舞われましたが(大学は休みになったものの、この寒にも関わらず、寮には暖房がつかない、次の日 までお湯が出ないという惨めな思いをしました)、今はあの頃のパニックも嘘だったかのように、キャンパス内は全体的に落ち着きを取り戻し、新学期の初々し い雰囲気が漂っているようにに思えます。雪は最近の大雨でほとんど消え、日は少しずつ長くなり始めました。今は、春が来るのが待ちどうしくてたまりませ ん。(いったんは暖かくなっているかのように感じたのですが、今日はまた急激に下がり気温は零下となる寒さでした。)

こちらの気候につ いてもう少しお話すれば、この冬は過去10年間のうちで最も厳しい寒さだったようですよ。(初めての冬なのでこれが普通と思っていたのですが、どうやら違 うようです。)冬休みはこちらで過ごしたのですが、連日のように雪が降り、気温は零下20度、30度という恐ろしい寒さが幾日も続きました。(これほど厳 しい冬は例年では稀なようです。)スノウ・ストームも何度かありました。外へ出たときの寒さは表現しようがありません。少し大袈裟かもしれませんが、沢山 の針が一度に頬に突き刺さるような寒さと表現すればいいのでしょうか。もう寒いという感覚がなく、痛いという寒さでした。(今も少しそうですが…)とにか く冬休みの間は、こちらでは暖炉の前でゴロリと過ごすのが最高です。しかし、雪景色のキャンパスタウンや周辺の公園や湖などは、辺り一面真っ白でとても綺 麗でした。(湖では氷が分厚く張り、アイススケートができました。)

さて、話しは変わりますが、冬休みに入る前には、期末試験がありま した。これも面白い経験になりました。とにかく驚いたのが、アメリカ人は大学でよく勉強するということでした。試験二週間前は寮全体が試験ムードとなり、 徹夜で頑張る学生達のために、夜は食堂で夜食のおやつが用意されたり、ユニオンの建物や大学のホテル自体が勉強部屋として開放されたりと、私もこの間はあ る意味でアメリカ人の学生に圧倒されながらもがんばった記憶があります。

そして、冬休みは先ほども書いたように、アーバン・シャンペ― ンで過ごしました。多くの友人が、この寒くて何もない場所になぜ留まるのか理解できないと、気の毒がりましたが、日頃あちこち歩き回っていたせいか、地元 に知り合いもいてこの町自体に少しでも長くいれたらという気持ちでした。逆に、やることがあって私なりに充実していたように思えます。キャンパス内は、学 部生達のほとんどが帰省してしまい、さすがに寂しい感じがしましたが、多くの友人が脅したように、キャンパスタウンがゴーストタウンになってしまうほどで はありませんでした。それどころか、教授達や研究熱心な院生達でキャンパスタウンに生活の雰囲気が感じられましたし、キャンパス内は普段とは違った大人っ ぽいアカデミックな雰囲気が漂っているような印象を受けました。

休み中は、知人のアメリカ人宅でホームステイをさせてもらいながら、4人 の子供達のベビーシッターをして過ごしていたのですが、それと同時に(4年に一度開かれる、クリスチャンの学生の会議、ウルバナ2000が開かれたため) キャンパス内での全国から集まる学生達の食事の世話をするアルバイトも見つかり、いろいろと挑戦していました。この期間中は、各州からまたは各国から学生 達が集まり賑やかでした。クリスチャンの学生達は礼儀も正しく、非常に人懐っこいという印象を受けました。働きながら、次第に知人が増えていき、様々な州 の話を聞くことができ、なんだかどこへも行かずして、旅行へいったような、そんな気持ちにさせられることがしばしばありました。ホームステイ先は9人の大 家族でした。毎日の9人分の食事作りを手伝うという(量の多さには驚くことばかりでしたが)、面白い経験もしました。私自身も家族同様に扱ってもらえ、彼 らからは家族の大切さや人の温かさを教わったような気がします。

また、クリスマスのころは老人ホームでボランティアをする機会も得ました。日頃できないことに挑戦しながら、勉強以外のことで多くのことを学んだような気がします。自分自身、こんなに力があったのかと驚くぐらいいろいろと挑戦したような気がします。

こ のような感じで過ごしているうちに、長かった休みもあっという間に過ぎてしまいました。後期の始めからは、少し張りきりすぎたのか、いきなり熱をだしてし まいました。でも遅れたくないという気持ちが強く、そのまま授業にでていたせいか二週間も苦しむ羽目になりました。後期は、会計学を勉強しています。他に も、チェコ文学とイギリス文学の授業もとっています。こちらの教授は生徒を引き付けるのがとても上手いと感じます。そのため、どれも授業は興味深いものば かりです。前期に比べると、気分的には落ち着いていますが、授業の課題をこなすのはいまだに大変です。これが最後の学期かと思うと寂しいです(英語の面で もこのままでは満足できないと言う気分です)、この残された後期、悔いのないように頑張らなくてはと気が引き締まる思いです。

JICの皆様のおかげでこのような貴重な体験をさせていただいていることに感謝しております。私達のこちらでの生活も残すところ半分となりましたが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

武田 麻美(東京外国語大学3年)

武田麻美さんの2000年11月分レポート

今朝、部屋のカーテンを開けると辺り一面真っ白の雪でした。こちらは話しに聞いていたとおりに非常に寒いところですね。でも、心配していたほどに気が滅 入ってしまうこともなく、雪の光景はすてきで気に入りました。シンガポール出身の友人が初めて見る雪に、はしゃいでいたので思わず私も嬉しくなってしまい ました。 最近はIllini Unionやキャンパスタウンのあちらこちらにデコレーションが飾られ始め、クリスマスの雰囲気がただよってきました。特に夜のIllini Unionはクリスマスツリーのイルミネーションでとても綺麗です。

さて、JICの皆様、お元気でお過ごしでしょうか?

私は元気でがんばっております。英語での授業についていくのは相変わらず大変なことで、精神的に辛いことも多いですが、なんだか充実していて有意義に過ご せています。また、東京とは違い、ゆったりと時間が流れるキャンパスで、のんびりとした気持ちで勉強ができるのは本当に幸せです。こんなにマイペースで過 ごしていて大丈夫なのだろうかと時には不安さえ感じますが。最近は少し余裕ができたので、勉強以外にもボランティアに参加するなどして、いろいろと行動範 囲を広げていくようにがんばっています。

秋学期の授業は残すところ一週間になり、あとは期末試験を受けるのみです。今は、それぞれの授 業からだされている最終課題をこなしているところです。院生用のESLの授業は予想外にハードなものでした。15ページに及ぶリサーチペーパーと発表とい うのは、学部生の私にとって本当に辛いもので、なんどもくじけそうになりました。これを通して少しでも英語力がついていればと思います。

こちらの授業のペースに慣れ始め、少し余裕ができたころから、日本の大学で専門としていたチェコ・スロヴァキア語の授業を追加登録しました。チェコ語から 英語への翻訳は大変ですが、教授と私を含め二人の生徒という3人での授業は、アット・ホームで非常に楽しいクラスで気に入っています。

最近、次の学期の授業登録があったのですが、またもや希望通りにはいきませんでした。人気の授業をねらいすぎなのでしょうかノノ。最後の学期なので、なんとかがんばって希望の授業をとって帰りたいと思っています。

ところで、こちらの大学へ来てからいつも幸せだなと思うのは、様々な国の友人ができたことです。このサンクスギビングの休みも、ドイツ人・フランス人・イ ンド人の友人とニューヨークを旅行してきました。事あるごとにお互いの国の話で盛り上がりました。特に国連を見に行った帰りに、夜遅くまで互いの国の政治 や文化についてを話しあったことは最高の思い出になりました。

こちらでは、勉強以外のことで、多くのことを学ぶことができ、内面的に自分自身が成長したような気がします。このような機会を与えてくださったJICの皆様に感謝しております。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

武田 麻美(東京外国語大学3年)

武田麻美さんの2000年9月分レポート

JICの皆様、いかがお過ごしですか? こちら、イリノイ大学アーバナシャンペン校のほうは、日ごとに寒くなってまいりました。慣れない寒さにこれから耐えられるかどうか心配しながら、今、中間 試験に向けて勉強している最中です。渡米前は、書類等の手続きからオリエンテーションなど、また沢山の有益なアドバイスをしていただき、本当にありがとう ございました。皆様のおかげで、こちらに来てからも安心して過ごすことができています。一ヶ月はバタバタと忙しく、あっという間に過ぎましたが、この間、 レポートに書ききれない程の多くのことを経験しました。

こちらに来てから一番に感動したことは、一面に広がるトウモロコシ畑、美しいキャ ンパスなのですが…それ以上に感動したのは、大学側の留学生に対する素晴らしいケアでした。OISA(office of international student affairs)は、生活面での細かいアドバイスや大学での勉強のことなど、あらゆるトピックを取り上げ、連日オリエンテーションをしてくれました。さら に、小旅行やちょっとしたパーティ、ボランティアの機会を提供してくれたり、また定期的にカウンセリングをしてくれるなど、対応のすごさには本当に感動し ました。おかげでホームシックにかかることもありませんでした。これらの集会を通して、他の国々からの留学生達と知り合うことができました。

逆 にこちらへ来て、ショックだったのは授業登録がうまく行かなかったことでした。JICのプログラムでは、LASに所属していながらも、希望する学部から好 きな科目をとれるということだったはずです。しかしながら私の場合、実際は取りたい科目は自由にとれない状況でした。私はこちらで教育学を取るつもりで張 りきっていたのですが、初日の授業で、教授から、他の学部からの登録は認められない、受講条件を満たしていないなど、何度も警告を受け、結局クラスから去 らなければならないという苦い経験をしました。交渉次第で何とかなるという話しですが、大学側にこういったタイプの留学生の存在を認識している職員が少な く、交渉の時にかなり苦労しました。結局、理解のある教授に出会えるまで、キャンパス内をあちこち走りまわり、交渉するという時期が長く続きました。私の ような苦い経験をするJICの奨学生がでることがないようにしなければいけないと感じました。

いろいろと問題はありましたが、最終的にコ ンピューターサイエンス(CS105)、景観設計(LA101)、社会学(SOC231)、ESL(401)のクラスをとることができました。CS105 はビジネス用のパソコンのクラスです。パソコンでの宿題は戸惑うことが多く大変です。景観設計のクラスは、おもに環境デザインの勉強をします。授業は外で 行い、キャンパス中をまわりながら、説明を聞き、実際にデッサンをします。土日を利用したフィールドトリップもあり、非常に面白い授業です。社会学の授業 は、主に少年犯罪について専門に勉強します。日本とアメリカでの少年犯罪への見方の相違点などがわかり、これも興味深いです。日本にはこれだけを扱う授業 がないので、珍しいと思います。ESLは、大学院レベルなので、非常にきついです。学期末までに、リサーチペーパを提出しなければなりません。今のとこ ろ、授業についていくこと、宿題を提出することなどで、バタバタと余裕がありません。でも、日本の大学で勉強していた時よりも、かなり充実した日々を送っ ています。

最近、自転車を買いました。暇を見つけては、キャンパスめぐりをしています。天気がよければ、スケッチもしてすごしています。 キャンパスは美しく、とても気に入っています。緑の中をリスがあちこち走り回っていますし、時にはアライグマ、野ウサギを見ることもあります。休日は、教 会へ行ったり、ショッピングをしたり、ミュージカル、映画など見に行くなどして楽しみを見つけては出かけるようにしています。

英語につい ては、会話レベルでは、苦労はないのですが、やはりディスカッションのクラスとなるとかなりストレスがたまります。他の学生が何を言っているのか聞き取る ので精一杯です。もっと、参加できるように、英語力をつけていきたいと思いました。でも、こちらの大学は、留学生が多く外国人慣れしているせいか、少々英 語がおかしくても、笑われることがありません。きちんと聞いてくれます。生徒が外国人の生徒にに対して、比較的温かい態度で接してくれているように思いま す。そういった点で、この大学は留学生にとって過ごしやすい場所であると感じました。

今は、余裕がなく大変なことも多いですが、何もかもが興味深いことばかりで、全てが勉強になっています。このような機会を与えて下さったJICの皆様へ心から感謝したいと思います。これからもどうぞよろしくお願い致します。

2000年9月29日
武田 麻美(東京外国語大学3年)