野村友香さんの2016年7月分奨学生レポート

こんにちは、小山八郎奨学生第40期の野村友香です。と言って留学の報告レポートを書くのもこれが最後と思うと寂しさがこみあげてきますが、同時にイリノイで過ごした時間が私の中で一つの思い出としてしまわれていく感覚に捉われます。

 

5月20日に帰国してから、東京での新居探しや引っ越しの準備に追われており、ゆっくりと振り返る時間をとれていませんでした。帰ってしばらくはまだ心はアメリカにいるようなふわふわした感覚で、もう今はアメリカにいないんだという感情的な寂しさにまみれた日々を過ごしていました。実家から東京に引っ越して大学の授業が始まるとやっと元の生活に戻ったというような感覚になりました。

 

10ヶ月を振り返ると、本当にたくさんの貴重な体験をすることができました。日常はキャンパス内での勉強や週末のハングアウトがほとんどですが、その他にも休みごとには様々な場所を訪れ、留学前は行くだろうとも予想していなかったような大陸を超えた場所へ行き、本や映像の中だけで知っていた世界を実際に目の前にすることができました。とりあえずずっと日本にいたくない!留学行きたい!!という思いから決心して切符を手に入れた小山八郎奨学金でしたが、イリノイに来て大切なことにたくさん気づきました。

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(写真1 日本館の桜)

 

将来何をするか。もともと大学に入るときも、進学後に学部を決めるときも人生をかけてやりたいことや達成したい目標というものはなく、なんとなくこっちに行っとけばうまくいくかなー、なんてノリであらゆる決断を乗り切ってきました。ですから3年生になって今後に対する漠然とした焦りは少しありました。ここで一回足踏みといいますか、留学期間をはさむことでゆっくり将来について考えることができて、新しい目標を見つけることができました。アメリカでは卒業後すぐに働いたり大学院へ行くのではなく少し時間をとってその間に仕事を見つけたりする人も結構いました。いい意味でのんびりしているというか、自分が成し遂げたいことをするためなら時間をかけてでも最終的に達成できればいいやと考えている人が多いように感じました。だけれどそうした人も決して歩みを止めている訳ではなく、目標の下で必要な時間をとっているようにみえて、私も大して焦る必要はないなと思いました。達成するための努力は必要ですが。

 

アメリカという、多様性を受け入れる国。特にイリノイ大学は留学生の数が多いこともあり、日本・アジアから来たからといって差別されることは決してありませんでした。一つの家族の中でもたくさん国にルーツがあることも多いので、多様性が身近に当たり前にあるのでしょう。ある時友達の家族とごはんを食べに行く機会があったのですがそこで家族の話題が、我が家にどこどこの国の血は流れているのか、実はおばあさんのおばあさんはどこどこの国にいたからこの国にもルーツがある、というような話になりました。私は完全に親類は全員日本だしたぶん元をたどっても全部日本人だろうし、そもそもあまり人種を気にしたことがありませんでした。こうした話題が小さい頃から日常にあるから、自然と外の国にも目が向くようになるのだろうなと思いました。しかし多様性があるからと言って全員が完全に混ざり合っているとは言い難く、たとえば大学内でときどきBlack peopleによる抗議のようなものが行われていました。それに対してfacebook上でイリノイ白人会なるものが結成されていて(すぐに削除されましたが)、大学が介入してこの騒動を止めていました。人種によるグループは顕在化していなくともそこらじゅうにあり、完全な人種のサラダボウルと呼ぶにはまだ疑問が残る部分もありました。

 

勉強に集中する環境。田舎にあるイリノイ大学はとても落ち着いた雰囲気で、勉強に最適の環境だと思います(平日は特にでかける場所もないし。)図書館はもちろん24時間空いていて、個人用の仕切られたスペースの他にもグループワーク用のスペース、大きなスクリーンやホワイトボードが設置された個室など、議論しながら学びを深めていく環境が作り上げられていました。春学期の遺伝の授業で、最終課題はinfographicをグループで一つ作るといったものだったのですが、授業が終わってからもこの縁をつなげていきたい、もっといろんなことを知りたいという声があがってウェブサイトを作ってその授業メンバーによるstudent organizationまで立ち上げてしまいました。(現在進行中なのでウェブサイトが公開できるようになったらシェアしたいと思います。)こうした自由な雰囲気の中で、なんでもやってみよう!それいいね!とアイディアがすぐ形になる勢いとエネルギーをたくさん感じられたのがよかったです。

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(写真2 制作したinfographic)

 

素敵な人に本当にたくさん出会いました。春学期特にお気に入りだった教授(遺伝学)は、私が遺伝に興味があると伝えたら役に立つサイトや論文をたくさん(消化しきれないほど)教えてくださいました。教授のお兄さんもどこかの大学で教授をしているみたいで、一度授業に来たこともありました。JICの生徒であるという理由だけで、たくさんの方にお会いしてお話を聞かせていただける機会もありました。日本館設立に大きく関わった、日本文化を代表する人であるような佐藤先生からは私が知らないディープな日本のことについてたくさん学ばさせていただきました。何度かお家へ伺い、貴重な資料を拝見させていただきました。ほとんど毎日のように一緒に図書館で勉強してくれた友人、私のグルメ開拓に付き合ってくれた友人、頻繁に家に呼んでくれてどうでもいい話から真面目な将来の話までたくさんのことを話した友人。よくわからない不安で心が影ってきたときは周りの人に頼ることでいつでも元気でいることができました。ここでの縁はいつまでも大切にしたいですし、今後も大変なことがあったときはアメリカでがんばっている友達を思い出せば自分もがんばれる気がします。

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(写真3 いい友達に恵まれました)

 

実のところはアメリカに渡るまでずっと休学してまで行く必要があるのかよくわからないけれど、とりあえず行ってみようと思って一歩を踏み出しましたが、今は心から行ってきてよかったと言えます。のんびりした場所で長い期間好きなことをして贅沢に時間を使ってきたので東京の忙しさに慣れてしまうのはもったいないですが、また次のステップに向けていろいろな経験をしていきたいです。最後になりますがJICの奨学金制度のおかげで本当に充実した留学を実現することができました、このような素敵なチャンスを与えてくださりありがとうございました。JIC40期の素敵なメンバーにも感謝しています。また特に何も口をはさまずにいつも見守ってくれている家族に本当に感謝しています。この経験を糧にまた新しい道を切り開いていきたいです。

 

2016年6月

小山八郎40期奨学生 野村友香

野村友香さんの2016年3月分奨学生レポート

JICの皆様、ご無沙汰しております。40期の野村友香です。到着前からずっとイリノイの厳しい冬を恐れていたのですが、今年は暖冬だったようで大雪+強風で外に出るのさえつらいというのは合わせて5日もなかったように思います。2月後半ごろから10度に到達する日も時々あったのでびっくりしたほどです。

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(冬のある日)

春学期が始まってちょうど半分が過ぎました。1週間単位の時間の感覚はすごく長く感じて毎週金曜日を待ち遠しく思っていますが、振り返るとあっという間の2ヶ月でした。

今回のレポートは

  • 長い冬休みの出来事
  • 今学期の新鮮な授業
  • 生活イロイロ

という内容でお送りしようと思います。

 

  • 長い冬休みの出来事

12月19日〜1月18日まで丸1ヶ月冬休みでした。この1ヶ月は私が今まで過ごしてきたどの1ヶ月よりも濃い期間だったと思います。なぜならアメリカを飛び出してまずは南米に向かい、その後ヨルダンまで冒険をすることになったからです。

 

〜前半〜

最初の二週間は南米旅行ということでペルーとボリビアへ行ってきました。カナダとチリに留学している日本の友達とペルーで待ち合わせをしていたのですが、久しぶりに仲の良い日本の友達に空港で会った瞬間のうれしさは最高でした。南米は英語も多少は通じますがスペイン語ができると旅の楽しさ+楽さは倍増すると思います。チリに留学している友達のおかげで語学面では全く困ることはありませんでした。宿のおじさんやおばさんはスペイン語しか話せない場合もあり、日本人3人が来るとがんばって英語で話そうと努力してくれますが、こちらがスペイン語を話し出すと「え!話せるの!!」という感じで次から次へと観光情報やレストラン情報を教えてくれました。どの言語でも話せることに越したことはないので理解できる言語を増やすというのは人生の課題でもあります。

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(マチュピチュをバックに)

ペルーでは首都リマからクスコに移動し、その後マチュピチュへ向かいました。ペルーボリビア間は夜行バスで移動(これが乗る前は未知すぎて恐怖だった)、その後ウユニ塩湖へ。ウユニは言われていた通り本当に日本人が多く、その場にいた8割以上は日本人で残りは中国韓国その他の国というように思いました。サンライズとサンセットツアーに参加したのですが本当に写真でよく見るようなきれいな景色が目の前に広がっている様子はあまり現実のように思えませんでした。ただ予想以上に寒すぎたので夏の時期に行くといえど標高がかなり高いので防寒対策は大切です。

 

慣れない土地で治安もあまり良くない中、基本的に気を張りながら歩いていないといけないので疲れることはありましたが、久しぶりに友達に会えたことと未知なる地にいるわくわく感に溢れた旅となりました。

治安最悪と言われるペルーボリビアの国境を通ることになったり、換金するときに偽札を渡されたり正しい額をもらえなかったり、街が予想以上に汚かったりとあまり今までに経験したことのないような面もありましたが、それ以上にきれいな景色やおいしいごはん、伝統的な街並み、それに世界にはこのような場所もあるのだなあと感じられたことが大きな収穫となった旅でした。

 

〜後半〜

さて、12月30日の午前中にペルーからマイアミ経由でシカゴに帰ってきた後、同じ日の30日夜のフライトでシカゴからヨルダンへ向かいました。前回のレポートで触れたようにヨルダンへ向かった目的はGLBL298(Integration & Immigration)のクラスの現地研修です。ヨルダン出身のUIUCの教授とクラスメイト18人での旅となりました。クラスメイトの中には飛行機に乗るのが初めてという人やアメリカ大陸から出るのが初めてという人もいて、集合時はみんなのテンションが高かったです。私は南米から帰ってきた直後で海外へ行くという新鮮感がなくなってしまっていたのですが、他のみんなを見て「また別の旅が始まる!」という気分になりました。

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(集合写真)

 

現地へ行く前は週一回の授業があり、ヨルダンに隣国から流入してくる難民について理解を深めました。パレスチナやシリア、レバノン等の不安定な周辺国からヨルダンに流れてくる難民は多く、登録されているだけでも200万人以上の難民がヨルダンで暮らしています。ヨルダン国内のインフラや学校などは不足状態に陥っており、その事態は年を追うごとに深刻になっています。

 

ヨルダンでは実際に3つの難民キャンプを訪れて学校や病院、また住民の生活の様子も見ることができました。ある日にはシリアから家族を連れてヨルダンにたどり着いたという家族の話を彼らの家で直接聞くことができました。あまりにリアルな体験談に思わず涙を流している人もいました。彼らは難民としてヨルダンにやってきているので市民権がなく、ヨルダンで仕事を得ることができません。ヨルダン政府から生活費の援助をもらってなんとか生活していますが、その額は生活するのに十分とは到底言えません。シリアの政治が腐敗しているせいで自分たちはこのような生活を強いられているのは事実だけど、祖国に必ず将来帰りたいと多くの人が言っていたのが印象的でした。また、アメリカは他国への影響力が大きいのだからその自覚を国民一人一人が持って欲しい、同情ではなくて根本的な解決を一緒に考えていきたいとも言っていました。これは私がこの滞在全体を通して思ったことなのですが、ヨルダンに限らず世界各地でいくら難民キャンプの整備をしたり受け入れ先を増やしても、結局は根本の原因を解決しないときりがないということです。もちろん起きてしまった問題に対して解決策として他国からの厚い支援は必要ですが、あまりに問題が大きすぎて解決策が追いつくことはむずかしく、追いつこうとしてもさらに問題が大きくなるという負のループが永遠に続いているように思います。抽象的な言い方になってしまいましたが、こういったことを直接感じ取れたのも実際に行ったからこそ感じられるものでした。

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(Baqa’a campの様子)

また、単なる支援だけでいいのか?ということも心に引っかかったことでした。ザータリーキャンプを訪れた時、キャンプの奥に立ち入ることは禁止されたので外縁の道をバスでぐるっと一周しました。途中で、暮らしている人々がいたので持ってきた衣服や勉強道具を渡すためにバスを止めるとすぐに人が集まってきて、私たちがバスを降りるころにはバスが住民に囲まれるほどたくさんの人が集まってきました。きっと私たちのように他の国から来たひとが支援物資を渡すためにこのようによく来るから、バスがくると何かもらえると知っているのでしょう。だけれど私たちはただものを渡してあとはすぐ去るだけ。多くの人がそうしてきたのだと想像すると虚しい気持ちになり、目に見える生活の改善につながるような支援を継続的に行なわなければと感じました。かといって今自分が何ができるかということはすぐには答えられず、何かできるかと言われても自信を持って答えることはできません。ここで見た景色や感じた雰囲気は強烈に頭に残っているので今後もときどき思い出しながら答えを探っていきたいです。

 

少し暗くなりましたが、滞在中は楽しいこともたくさんありました。ヨルダンは予想以上に観光地化されている場所が多かったです。インディンジョーンズの舞台となったペトラ遺跡や死海、紅海に面するビーチでたくさん遊ぶこともできて最高の思い出ができました。このプログラムは引率の教授が行程や訪問先の手配などを全て担っていて、普段は入れないような難民キャンプもヨルダン出身であるツテを生かしてUNHCRオフィスにコンタクトをとったり、生徒が楽しめるようにとバカンス要素もたくさん詰め込んでくださいました。またヨルダンの公用語はアラビア語で街中では基本的に英語は通じず、訪問先でもアラビア語しか話せない方のお話も聞いたのですが、そういった際は教授がすべてアラビア語-英語の通訳をしてくださいました。生徒同士はもちろんですが、教授と生徒もかなり仲良くなって旅が終わる頃にはみんなのお母さんのような存在になっていました。

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(紅海。海の向こうはイスラエルとエジプト)

 

2. 春学期の授業

 

今学期の授業の中から一部を紹介します

 

CS125 Intro to Computer Science

以前からプログラミングを勉強し始めたいと思っていましたがなかなか行動に移していなくて、せっかくコンピューターサイエンスの名門イリノイ大学にいるのだから授業をとって自分を鍛えようと思い、履修しました。この授業は題名の通りプログラミング(Java言語)のイントロダクションなのですが、今までに経験がない私にとっては非常に負担が大きく毎週ハードな課題にヒーヒー言っています。Machine Problemといってコードを実際に書く課題がほぼ毎週あるのですが、締め切りまでに提出し終えて一息ついているとまた新たな課題がふりかかってくるのであまり休む暇がありません。 また、100番台といえど多くの人がハードだと言っている理由は、イリノイのCSの授業は100番200番を難しめに設定して、授業についてこられない人をCSメジャーから振り落とすという思惑があるからだそうです。

 

この授業をとって一つ思ったのは、やはりイリノイ大学はエンジニアの大学だということです。エンジニアのエリアはキャンパスの北側にあるのですが建物一つ一つが新しく洗練されているのは歩いているだけでわかると思います。また、CS125の授業は履修人数がかなり多いからということもあるとは思いますが、Office Hourが月-金の朝から夜まであり、常にCSメジャーの誰かがスタッフとしてオフィスに常駐しているので課題や授業内容でわからないことがあれば聞くことができます。また、オンライン上での掲示板もありそこに投稿すると他のクラスメイトまたはTAから宿題のヒントや質問の答えをもらうことができます。こういったシステムが完全に確立されていることに驚いたのと、私個人の感覚ではありますがやはりエンジニアの学部の気合が違うなあと思いました。

 

GCL125 The Molecular Me

 

GCLとはGlobal Challenging Learningの略で、少人数の授業で生徒同士また生徒と先生のinteractionを大切にすることに重きをおいた授業だそうです。GCLの授業は他にも多くのクラスがあり、内容は多岐にわたっています。この授業の大きなテーマはPrecision Medicineに対する理解を深めるというものです。Precision Medicineアメリカの医療政策の一つで、個人の遺伝子や生活環境、ラフスタイルによって疾患の可能性や治療方法は変わるので、自分自身を理解して健康な生活を実現しようという動きです。患者はもちろん、医師や研究者が一体となってあらゆる角度から情報を提供したりデータを分析することで個人に即した医療を提供することが目的です。

 

普段の授業のペースは比較的ゆっくりで、ある疾患に関わる遺伝子がどこにあってどのような変異の可能性があってどういった体内の伝達システムに関わっているのかということを調べたり、遺伝子を見るツールやウェブサイトを最大限に利用するためのコツを学んだりしています。また、個人で注文すると200ドルほどかかる遺伝子検査キットを無料でもらうことができました。近いうちに私の遺伝子検査の結果が出るので、それを丁寧に調べることで遺伝子のタイプ、変異、どういった病気の可能性があるかということがすべて把握できるようになります。また、遺伝子によって適切な食事も変わってくるということや個人の性格や能力に関わるもの(ストレスを感じやすいとか音楽の才能とか)も遺伝子に基づいているということも学びました。自分について遺伝的な観点からかなり深く理解できるのでとても興味深いです。

 

MCB402 System & Integrative Physiology

 

いわゆる生理学の授業で、pre-medの人が周りのほとんどを占めるように思います。授業はレクチャー形式ですが教室が比較的小さいことから質問が頻繁に飛び交っています。テストが学期に4回あるのですが、毎回A4サイズの自作プリントが持ち込み可なので、テスト前はとにかく小さい字で授業内容をまとめるのに必死になっています。

 

  • 生活イロイロ

 

・日本館でのイベント

JICとJapan Houseが共同でJapnaese Breakfast eventを3/13に行いました。日本の旅館に行ったときに困らないように朝食に関する知識を深めようというテーマの下で行いました。JICによる日本食に関するプレゼン(ある家庭の一幕を演じたスキットも)の後に、実際に朝食をゲストと食べました。メニューはかなり豪華なものになり、来ていただいた方々にも嬉しいコメントをいただいたので準備を念入りにした甲斐がありました。このイベントを通じてJICの4人もさらに仲を深められたと思います。

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(当日のメニュー:筍ごはん、味噌汁、漬物、胡麻和え、卵焼き、焼鮭、大根おろし、他に梅干し納豆味付け海苔あんみつ、)

 

・crisis nurseryでのボランティア

キャンパスのすぐ裏にあるcrisis nurseryといういわゆる託児所のような場所で週一回のボランティアをしています。同じ授業をとっている友達にこういった場所があるということを教えてもらいました。この施設は365日24時間空いていて、さまざまな理由により家庭内で子育てが負担になっている母親や一時的に子供を預けたいという家族がやってきます。もともとは隣にある病院の一部で親が入院中の子供を預かる場所だったそうですが、規模が大きくなったので独立したそうです。0歳から小学校にあがるまでの子供がほとんどです。子供と外で遊んだりごはんを食べさせたりと私はただただ楽しくやっているだけで、毎週子供と遊ぶ時間が癒しになっています。

 

 

留学中はときどき、なんだか自分の中で時が止まっているような、この1年間だけ切り取られた別の世界にいるような感覚になります。去年はどこかよそ者感があったようなキャンパスも今では愛着がわいてここに通っているという意識が芽生えるようになったし、何も用事がないときでも気軽に連絡できる友達がたくさん増えたこともここの生活に慣れたといえる理由の一つです。アメリカにいる環境を最大限に生かして多くを吸収して最後までやり遂げたいと思います。

 

最後になりますがJICの奨学金でここに留学できたことを本当に誇りに思っています。JICの繋がりでお会いできた素敵な方々がたくさんいます。ご支援いただいている皆様に改めて感謝申し上げます。また、好き勝手な娘を遠目から見守ってくれている家族にも感謝を述べて今回の報告とさせていただきます。読んでいただきありがとうございました。

 

2016年3月26日

JIC40期奨学生 野村友香

 

野村友香さんの2015年12月分奨学生レポート

JIC第40期奨学生の野村友香です。イリノイではついに11月末に初雪が降りました。基本的に寒いのが苦手なので雪も同時に好きではないのですが、1時間もしないうちに辺り一面を白い世界に変えた雪をアメリカで初めて見たときには少しだけ興奮していました。これから本格的に寒くなると家から出られなくなりそうで心配です。

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(シカゴでの初雪)

 

今回は

1秋学期授業途中経過

2サンクスギビング休暇について

3所感

といった内容でレポートをお送りします。

 

1秋学期授業について

 

今学期は自分の専門に関わらないような科目を多めにとって純粋に教養を学ぶことを楽しめました。しかしなかなか勉強のモチベーションを保つのが難しい時期もあったので来学期はもう少し生物の授業に重きをおきたいと考えています。

 

以下、各授業の感想です。

 

MCB316 Genetics & Diseases

 

授業は教授が作成したNotePacketに沿って展開されるのですが、一回分のNotePacketが最初は15ページくらいだったものが最近は50ページほどになっていて量の多さに心が折れています。内容は興味深いもので、治療における遺伝子の可能性に改めて気付かされたこと、世界が解明すべきことはまだまだたくさんありすぎるということに気付いたことは私の中での小さくもあり大きくもある変化でした。先日、二人ペアで行う20分間のプレゼンテーションがあり、私たちは乳癌の原因とされるBRCA遺伝子の変異とガンの関係性について発表しました。プレゼンの日程がサンクスギビングの旅行から帰って来た次の日だったため、旅行中も時々プレゼンの存在を思い出さなければいけなくなってしまいました。プレゼンの内容は難しく、たくさんの論文を読んでそれらをまとめなければならないため大変でしたが、ペアの子とつらいつらいと言いながらもスタバで一緒にプレゼン準備をしたり練習をしたりできたのである意味楽しめました。この授業でReadingAssignmentやプレゼンの準備において本当にたくさんの論文を一気に読んだので効率よく論文を読むスキルも多少向上したと思われます。期末試験は範囲が膨大となるのでしっかりと準備をした上で臨もうと思います。

 

PS225 Evnironmental Policy

 

こちらの授業では扱う内容が環境を軸にして経済や政治などの分野に広がっているので、経済学の基本的な用語や考え方に触れることができたのは非常によかったです。先日の中間テストでは用語を与えられて説明する問題や、ある地域の環境と経営などのケースが与えられてどう対処するかというような論述があり、時間内で全て回答するのは少し大変でした。

前回のレポートでフィールドトリップがあると触れていたのですが、教授と生徒15人程でインディアナ州の砂丘を訪れました。人間によるエリア開発と自然保護の折り合いの成功例と失敗例の両方が共存しているIndiana Duneを実際に歩き回ってきました。砂丘と聞いていたので私は勝手に平地が広がった砂丘をイメージしていたのですが、実は砂でできた山でした。ですから、一歩進めるごとに足が砂の中に沈むのです。2時間かけて砂丘を越えた後にはミシガン湖の壮大な景色が広がっていて大きくきれいな湖を眺めながらお昼ごはんを食べたのはいい思い出です。帰りはさすがに迂回して帰るのだろうと思っていたら、通ってきた山道をまた歩いて戻るということだったのでとてもハードな旅となりました。教授はそれほど若くないのに長時間のハイキングを苦と思わないようで、教授のパワフルさに圧倒されっぱなしでした。

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(Indiana Duneをミシガン湖に向かって歩く)

 

CMN101 Public Speaking

 

学期中に合計5回あるスピーチのうち4回が終わりました。4回目のスピーチは本当に運の悪いことにサンクスギビング直後かつMCBのプレゼンと日が重なってしまったのでこちらも旅行中に気にしなければならないことの一つでした。4回目のスピーチはPersuasive Speechと言って実際の新聞記事やデータを用いることが条件としてあり、私はアメリカの医療費高騰問題について話しました。スピーチ前に原稿を提出する必要があるのですが、原稿の型が与えられているので書くことはそれほど難しくはないものの、参考資料を集めたり形式に沿って原稿を書くことに予想以上に時間がかかってしまいました。個人的にはスピーチのスキルは回数をこなすほど上がっていくと思うので、場数を踏めるという点ではよかったですが他で人前で話す場面がある場合はこの授業を取らずとも授業でやるのと同じ内容のスキルは身に付けられる気がします。私自身はそういった機会はあまり多くなかったため授業で強制的にそうした場面を設けられてよかったと思います。

 

GS298 Immigration & Integration

 

LASが主催している短期留学プログラムのようなもので、8回の授業+2週間の現地での実習というプログラムが幾つかあります。その中でも私は冬休みにヨルダンに行って難民、移民について学ぶものに参加することに決めました。正直このご時勢に中東に行くのかと自分でも申し込んだ後に行くかどうか悩んだのですが、アメリカにいても危険であることは変わらないし、プログラムが現地出身の先生の引率の下で行われるということも考慮してやはりこの機会を逃したくないと思い参加を決めました。毎週のリーディング課題に合わせて、日々流れてくるシリア難民のニュースにも以前より注目するようになりましたが、先日のフランスでのテロも含めて世界の歪みが人々の脅威となっていることをひしひしと感じます。授業ではヨルダンの歴史、ヨルダン周辺国の状況や動きに加えて初歩的なアラビア語も学んでいます。

 

 

2. サンクスギビング休暇

 

11月21-29日の休みを利用してカリフォルニア州を訪れました。懐かしい高校時代の友人に会ったり、その友人の友人に新しく出会ったりと様々な人と時間を過ごしたことで楽しさが倍増しました。サンフランシスコでは特に予定を決めることなくひたすら街を歩き回ったことでサンフランシスコが持ついろいろな顔を見ることができたように思います。急激な坂道をバスや路面電車が走っていたおかげで苦しむことなく移動することができました。路面電車から外を見ていて、所せましと並ぶ家々の向こう側に広がる海が見えたときにはあまりの景色のすばらしさに感動して路面電車から落ちそうになってしまいました。(サンフランシスコの路面電車にはドアがなく、電車の外側に立つことができる)

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(路面電車と遠くに見える坂)

また、UCバークレーにいる友人を訪れたときには日本食のお店に連れていってもらい、豚の角煮と銀鱈の粕漬のおいしさにひたすら感動していました。

3日目にサンフランシスコからロサンゼルスまで夜行バスで移動したのですが、最初はアメリカの夜行バスは少し怖そうだというイメージを持っていたものの日本の夜行バスと全く変わらず安全に移動することができました。ロサンゼルスはまさに南国といった雰囲気であちらこちらに生えているヤシの木がとても開放的な南国のイメージを作りあげているように思いました。

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(組み合わせがおもしろい)

ロサンゼルスやサンフランシスコを訪れて思ったのは、シカゴはとてもきれいだということです。エリアにもよりますがSF、LAの中心部は治安も悪そうな部分も多く格差があまりにも顕著に現れていることに驚きを隠せませんでした。

 

その後高校時代の友人と合流し、ディズニーランドやヨセミテ国立公園を訪れました。ディズニーランドからすぐ近くのホテルに泊まっていたため疲れたら帰ろうと友人と話していたのですが、実際には朝から夜中まで合計15時間も飽きることなくパーク内に滞在していたことに自分でも驚きました。

 

イリノイの寒さから逃れるためにカリフォルニアに来たはずが、ヨセミテ国立公園ではマイナスの世界を体感することになりました。ですが気温など全くどうでもよくなるほど美しい雪景色が広がっていて、この時期に訪れて本当によかったと思いました。ヨセミテを訪れる際はぜひ11月末の雪景色を強くオススメします。(他の季節を知らないので何とも言えないのですが)

行き帰りのドライブ中に見た景色は木が一本も生えていない山がただ並んでいたり、見渡す限り文字通り何もない平地をひたすらまっすぐ走ったり、日本の高速道路を走っているときに見える緑がたくさんの自然を感じる山々とは全く違う風景を楽しむことができました。

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(ヨセミテ国立公園にて)

 

3感じたこと

 

授業、研究室、図書館、ジムを行き来していたらあっという間に毎日が過ぎていき、既に留学期間の3分の1が終わったということに驚きを隠せません。来た当初よりはのびのびと生活できるようになった気がしますが、英語に関しては当初に比べると引け目をそんなに感じることなく発言できるようになっただけでまだ日々鍛錬の日々が続いています。集中していないと質問の意味が聞き取れなかったり、少人数での議論で主張を押し出せなかったり悔しい思いをすることがたくさんあります。後から考えて「あの時こう言えばよかった、こういう表現をすれば伝わったかもしれない」と思うことが多いのですがもうその時点では遅い訳で、日々その場での勝負に全力を注ごうと何回決意したことでしょうか…。

 

イリノイ大学で出会った刺激的な友人は非常に勉強熱心であり、将来像実現へのプロセスがはっきりしており、そういった友人と話す中で本当に自分は今まで自身について真剣に考えずにただ直感に従って生きてきたということを感じました。しかしだからと言って悲観的になった訳ではなく、彼らがそうした事実に気付かせてくれたことに感謝しているし、自分が本当にやりたいことなどを考えていると今までぼんやりとしていた将来像が明確になってきているのを感じます。また同時に、日本の友人にも刺激を受けている自分がいることも感じました。サンクスギビング中に泊めてくれた高校・大学の友人が留学先で頑張っている姿、日本での部活のチームメイトが努力している姿、大学の学部の友人が日々の実験に苦しんでいる姿…今までどれほど恵まれた環境にいたかを離れてから改めて感じ、アメリカで頑張る原動力となっていることは事実です。きっとアメリカで出会った友達の存在も今後私を動かす原動力となると思うので今いる自分の環境を改めて大切にしようと思いました。

 

学び、楽しい、嬉しい、素敵、失敗、葛藤、嫌だ、納得いかない、などいろいろな出来事・感情がこの3ヶ月間だけでも本当にたくさんありました。毎日の時間を大切にしながら日々を彩っていく感覚を忘れないようにして今後も前進していこうと思います。

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(今となっては懐かしいイリノイの紅葉)

 

2015年11月30日

野村友香

 

 

 

野村友香さんの2015年9月分奨学生レポート

Japan Illini Clubの皆様、こんにちは。第40期奨学生、東京大学薬学部3年の野村友香です。今まで留学応募段階から実際に留学を始めるまでJICのホームページ上のレポートをたくさん読んで留学に対するイメージを膨らませてきたので、いよいよ自分が書く番が来たかと思うととても嬉しいのと同時についに留学記を公表する側になったのだ…!と身が引き締まる思いがします。最近のイリノイの気候は日差しが暖かく、非常に過ごしやすいです。こうした心地よい気候がもうすぐ終わってしまって極寒の冬がやってくるということが未だに信じられていません。

 

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Altgeld Hall。青空がとてもきれいです。

 

第一回レポートでは到着~9月末までの出来事をお伝えします。留学の目的等含めた自己紹介はCOUNTDOWNサイト(リンク)の方に掲載するのでここでは割愛させていただきます。

 

  1. 授業

 

アメリカの授業を数週間受けて感じたことは、やはり宿題の量が多いということです。アメリカの学生は日本の学生に比べてよく勉強するというのは普段聞く話ですが、彼らは就職や大学院進学の際にGPAが重視されるということと、日々の宿題の量が多いので結果的に勉強せざるを得ない状況にいるというだけだと思います。日本でもよく勉強する人はするので、どのような環境にいても自分の意識で行動を決めることが大事だと感じました(自戒…)。

また、評価基準がはっきりと提示されていて分かりやすいということも感じました。中間、期末に加えて日々の宿題とエッセイなど評価項目がたくさんあり、その一つ一つの評価方法と点数配分も公表されています。例えばエッセイだったら、Introにはこれとこれを含めなさい、Bodyに書く内容はこれとこれですよ、採点者はここをポイントとして見ますよ、という評価シートが授業中に配られました。このポイント全てを押さえればいい評価が得られる(はず)なので、英語に苦労することはあったものの慣れない分野のレポートでもこの評価リストに従ってなんとか書き上げることができました。レポートを書く際は、完成したら図書館のWriter’s Workshopに行き、見てもらっています。予約が必要なのですが、50分で文法や含めるべき内容のチェックなどを一緒にしてくれるので利用しています。その後指摘された点を直した後に、寮の友達にチェックしてもらいました。自分では気づけない箇所を教えてくれるのでとても助かっています。

 

以下、今学期の授業を紹介します。

<MCB316 Genetics & Disease>

週3回のLecture+週1回のDiscussionという構成になっています。遺伝子が関わる病気のメカニズムについて学び、特に今重点的に勉強しているのは性染色体が絡む疾患についてです。自分の専門にも関わるだろうし、しっかりと勉強したことがなかったので履修を決めました。毎週Problem Setといって15問くらいの宿題が出るのですが、締め切り前日にはTAの方が質問に答えてくれるHelp Sessionが開かれるのでいつも頼っています。そこで同じように質問に来た学生に教えたり教えてもらったりもしています。

<CMN101 Public Speaking>

過去の奨学生の多くの方々がとっていた授業で評判がよかったため、履修しました。日本ではあまり見かけない題材の授業内容で、スピーチにおける話し方はもちろんのこと題材の選び方・観客にどう効果的に伝えるかということを学びます。学期中に5回のスピーチをすることになっています。私以外は全員ネイティブで苦労することの方が多いですが、その分彼らの話から学ぶことも多いです。授業中に5人ほどのグループで話し合うときに会話が早すぎてついていけないことが多々あるので、グループの話し合いでどう存在感を出すかということが毎回の授業の課題です。

<PS 225    Environmental Politics &Policy>

親の実家が山の中にあり自然保護に関しては強い興味を持っていたことと、以前大学のゼミで野生動物について勉強したときに興味深い内容だったことから履修を決めました。環境と社会、政治、経済の関わりをアメリカのあらゆる地域を例にして学んでいます。題材は幅広く、イリノイ州での環境保護から国立公園の存続、また国立公園での人種による活動の違いなど毎回のテーマが興味深いものです。わりと広い教室での授業ですが、活発に意見や質問が飛び交っていています。9月末にはインディアナ州へのField Tripが予定されているので楽しみです。

<MCB 290 Undergraduate Research>

これは授業というよりは自分の活動の一つのとして捉えています。イリノイ大学の教養学部の中でもMolecular & Cellular Biologyという専攻の研究室で学部生のリサーチアシスタントとして研究室メンバーに入れていただきました。毎週金曜日にはラボミーティングがあるのですが、背景知識が乏しいことから毎回理解に苦しんでいます。

日本では学部生が研究室に所属することがカリキュラムとして一般的ですが(私の学部では4年になるときに研究室配属がある)、アメリカでは学部生に関してはそうではありません。アメリカの学生は今後推薦状を書いてもらうために教授とコネを作るため+研究の経験を積むために、学部生は自分で申し込んでリサーチアシスタントをする人が多いそうです。こうしたことから、どの研究室にも3〜5名程の学部生がいますし、その競争率はとても高いです。実際、私も多くの研究室に断られて途中で心が折れそうになりましたが、研究室に入ることはこちらに来てやりたいことの一つだったので諦めずにあらゆる教授にメールを送り面接も乗り越え、なんとか受け入れてくださる研究室を見つけることができました。

また、入ってから気付いたのですが、私が入った研究室は教授が韓国人だからなのか研究室メンバーはほとんどが韓国人です。現地の友達から聞いた話によると研究室は同じ国の人を集める傾向にあり、中国系やインド系研究室なるものも存在するそうです。

<MUS 180 Piano>

こちらは単なる趣味です。1週間に30分のピアノレッスンを大学院生から受けています。レッスンのあとはいつも晴れやかな気持ちになるので1週間の中でもこの30分はすごく好きな時間です。以前12年間くらいピアノを続けていたのですがしばらく弾いていなかったことからなんとなく再開したくなり、これはいい機会だと思いオーディションを受けました。実際のところ忙しくてあまり練習せずにレッスンに通っている状況なので、もう少し練習の時間を確保しなければ…とこれを書きながら反省しています。

 

  1. 暮らしについて

 

寮はIllini Towerという16階建ての大きな建物に住んでいます。授業の教室まで徒歩5分、かなり広い個室、窓からのいい景色という素晴らしい部屋で本当に快適に暮らしています。食事は寮の1階にあるダイニングホールでとることが多いのですが、毎日メニューがほとんど変わらず、変わったとしても全く期待できる味ではないのでもう諦めています。こちらに来て舌の許容範囲が広くなったというか、あまりおいしいまずいということを考えなくなり、それなりに食べられればいいやというような楽観的な舌になってしまいました。

 

Illini Towerではメールで奨学金の申込みをしていたのですが長い間返事がなく、いよいよ振込の時期になっても返事が来なかったためどうなっているのかとオフィスに直接聞きにいきました。また、この寮はとても寮費が高いので通常の値段だったら払うことができないため、「もし奨学金をもらえないならこの寮を出て他のところに移る」とまで主張したところ「あ、君のメールは読んでるよ。今から奨学金対象者を決める会議をするから1時間ほど待ってくれ!」と言われ、1時間後には「奨学金獲得おめでとう!!!」と祝福されるという何とも謎な展開でした。結果として今はリーズナブルにいい寮に住めているので大満足なのですが、こういった一悶着が到着後すぐにあったため来てから1週間ほどはわりと精神的に疲れていました。疑問や不満があれば直接出向いて話すことの大事さを学びました。

 

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Illini Tower外観。

 

イリノイに来る前は、本当に田舎でとうもろこししかないよ、と多くの人から言われていたのでとうもろこしを受け入れる覚悟はしていたのですが、大学内で過ごす分にはそれほど田舎を感じることはありません。むしろ徒歩圏内で生活のほぼすべてが揃うので(Walgreenというドラッグストアのようなところまで徒歩3分、CountyMarketというスーパーまで徒歩5分)便利だとさえ感じるほどです。ただ、キャンパスから少し車を走らせると本当にとうもろこしだけが広がっている世界で、ああ私は田舎にいたのだと気付きました。先日、星を観に出掛けたのですが、この広いとうもろこし畑の中にただ寝転んで星空を見上げてぼーっとするというのは都会では体験できない最高の時間でした。

シカゴに行ったときは久しぶりに高層ビルを見て都会を新鮮な気分を味わいました。普段は大学内でしか過ごさないので目にするのはランニングパンツ+Tシャツ+リュックの姿がほとんどですが、シカゴでは洗練された都会の様子を感じ、東京を懐かしく思い出しました。そして時々でいいからこうした都会の雰囲気に触れたいとも思いました。

 

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シカゴのミレニアムパークにて。

 

  1. こちらに来て思ったこと・最近考えていること

 

まずアメリカに来て生きていく上で大切だと思ったことは、

・直接人に会って交渉すること

・事実をうまく、自分にプラスになるように表現すること

です。到着して1週間の間に寮の人や研究室の人と話す中でこういったことを感じました。特に後者は、研究室に受け入れてほしいと頼む際に謙遜気味な姿勢で臨んで何回か失敗し、原因を探していた中で気付いたことです。広く言えばアピール能力なのですが、そういったものが自分には本当に足りないと日々の授業でも感じているのでこの一面をどう変えていくかが今後の課題の一つです。

 

1日をどう過ごすか。1週間をどう過ごすか。1ヶ月をどう過ごすか10ヶ月をどう過ごすか。留学期間10ヶ月は1日の積み重ねであって、今日という1日は10ヶ月のうちどれくらいの価値があったのか?

こういったことをときどき考えては答えが出ないと思って考えることをやめて、を繰り返しています。思ったよりも時が過ぎるのは早く、英語もそれ以外も自分が思ったほど成長速度は速くないのではないかと心配になることも多くあります。当たり前なのですが日本にいてもアメリカにいてもそれほど人間は変わらないことに気付いたので(怠惰であることとか朝早く起きれないだとか)、そういったマイナス要素をどれだけ意識してプラスに変えていけるかということもこれからの課題です。東京で一人暮らしを始めたときに予想以上に一人で自分について考える時間が増えたと感じたときの感覚に少し似ていますが、この機会にとことん自分と向き合って今後の進路なども考えていきたいです。

 

後半はとりとめもないことを書いてしまいましたが、総じてアメリカでの生活を楽しんでいます。イリノイ大学の環境が大好きで、特にこの時期の昼間はやわらかい日差しの中でのんびりした雰囲気を感じながら散歩をし、一つ一つの建物の美しさに注目したり、リスの行動を観察する時間は至高です。はとはいってもまだまだやるべきこと・やりたいことはあるのに手が出せていない現状なので焦らずとも程よく焦りながら、たくさんチャレンジしていこうと思います。

 

最後になりましたがこうした貴重なチャンスを与えてくださったJIC の皆さまに本当に感謝しています。また快く送り出してくれた家族にも心からの感謝を述べて第一回のレポートを終わろうと思います。読んでいただきありがとうございました。

 

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初めて見たフットボールの試合。カレッジスポーツの枠を超えてビジネス化されていることに驚きました。