高濱萌子さんの2015年9月分奨学生レポート

JICの皆様ご無沙汰しております。また、レポートを読んでくださっている方、こんにちは。はじめまして。第40期小山八郎奨学生の高濱萌子と申します。日本では商学部で、消費者行動について学ぶゼミに所属しております。

8月14日に到着してから、様々な手続き・授業・遊びと常に何かをしていて気がつけば9月も終わりを迎えています。シャンペーンはここのところ快晴が続き、日中は30度を超える日もあります。日本はすっかり秋をむかえているのでしょうか。

第1回奨学生レポートを書かせていただきます。1回目のレポートですので、留学の目標、授業の様子、生活の様子、などを過去の奨学生の方々のレポートを参考にしながら書かせていただきます。

本レポートでは、

1.留学の目標

2.履修授業について

3.生活全般について

4.課外活動について

5.1ヶ月を終えての感想

の5項目に分けてご報告させていただきます。

 

【留学の目標】

私は、高校1年生の頃10ヶ月間、アメリカのテネシー州に留学をしておりました。当時はほぼわからない英語や日本と異なる生活様式に慣れることに必死で、ようやく慣れた頃にはあっという間に帰国という今思い返すともっとできることがあったのではないかと思う10ヶ月間でした。今回の留学では、その反省をいかし、「限られた時間の中で自分を最大限成長させるにはどうしたらいいのか」を考え、目標を立ててからスタートを切りました。そうして立てた目標が、「uncomfortableな状況に積極的に身を置く」というものです。出発前に、アメリカ留学から帰国した先輩の帰国報告を聞く機会がありました。その時の「1年間、uncomfortableだと感じることに意識的に関わり、解決策を見つけることで成長できた」というお話が非常に印象的だったので、私の留学の大きな目標にしようと決めました。居心地のよい場所から一歩を踏み出すのはなかなか勇気がいります。ですが、日本にいると、なかなか経験のできないことですし、目標に決めたからには「よし!」と気合いを入れてから普段ならばしないことにチャレンジしています。例えば、授業が終わったら教授に質問に行く、授業で隣の席に座っている子に自分から話しかけてみる、寮のラウンジで勉強しているグループに混ぜてもらう、テニスコートに出向いて知らないグループに混ぜてもらう…などなど。どれも本当に些細なことですが、こうした小さな積み重ねによって1年後には少しタフになった自分がいるのではないかと考えています。

 

【2. 履修授業について】

Fall semesterは、合計5つの授業をとっています。そのうちの一つはBusiness Administrationの授業のため、正式には履修できないので聴講生という身分です。各授業について紹介させていただきます。

〈KOR203 Intermediate Korean〉 授業形態:50min×5

大学で2年間韓国語を履修していたのですが、もっと会話のスキルを身につけたいと思い、アメリカでも勉強を続けることにしました。1クラス25人、そして50分の授業が毎日あるので、すでに日本での2年間分ほど話したと思います!クラスの人数が少ないこと、そして韓国のドラマや文化が好きという共通点があることで、仲良しの友達を作ることができました。

授業に加え、毎週金曜日にネイティブの韓国人と話せるKCT(Korean Conversation Table)というものに参加しています。ドラマで培ったヒアリング能力で、聴くことはできるのですが、やはり話すのはとても難しいです。春学期も履修を続けるかは未定ですが、語彙力をもっとつけて会話を続けられるようになりたいです。

〈ACE251 The World Food Economy〉 授業形態:Lecture 50min×2, Discussion 50min×1

今学期最も面白いと感じている授業です。需要・供給曲線の読み方も知らないレベルだったのでしっかり予習をしないとついていけません。課題のreadingは毎回非常に勉強になるので時間はかかりますが楽しんで読んでいます。食料経済の授業をとったのは、食に携わる仕事に興味があるので、知識を広められたら、というのが理由です。授業を聞いていて感じたのは、日本は世界的に見て特殊な国であるということです。例えば、高齢者の割合が非常に高い、農業従事者率が低い、食料の大半を輸入に頼っている、など、授業中のスライドで例として用いられる機会が多いように思います。日本は本当に美味しい食べ物であふれていますが、その分廃棄率も非常に高いです。先進国だけを対象にするのではなく、より多くの人が美味しい物を十分食べられるようにするには、どんなビジネスを展開すればいいのか、などを暇な時間に考えるようになりました。週1回のディスカッションクラスでは、主に3人1組でプロジェクトを進めるのですが、カップル+私というなんともuncomfortable(?)な状況なので多少の不安があります。来週からプロジェクトが本格的に始まるので、私たちの班のテーマであるマレーシアの食料経済事情について情報収集を始めようと考えているところです。

〈PSYC250 Personality Psychology〉授業形態:Lecture 80min×2

たまたまコースリストで見つけて履修を決めた授業ですが、内容が面白くてとってよかったと感じています。その名の通りpersonalityに焦点をあてた心理学です。個人差が生じる原因は、環境なのかそれとも生まれ持った性質なのかなどを様々なデータを基に考えます。履修してまだ1ヶ月ですが、やはりヒトの心理を知るのは大変なのだなあというのが感想です。一番リーディングの量が多く、予習が間に合わないこともよくあるので、読むスピードを上げることが直近の課題です。先生が大変はっきりと話してくださるので、聞き取りやすい面でもおすすめです。

〈RST320 Leisure Services Marketing〉授業形態:Lecture 50min×3(教授と生徒のやりとりは多め)

マーケティング概論のような基礎と、スポーツビジネスに関するマーケティングを学んでいます。日本に比べて、アメリカンフットボールやバスケットボール、アイスホッケーなど熱狂的なファンが多いスポーツを数多く擁するアメリカでは、スポーツビジネスには大きなチャンスがあるようです。

今週末のfootball gameで、secret shopperといって、さくらになりすまして試合会場の様子をレポートするケーススタディーを行います。様々な割当があるのですが、私は無効のチケットで入場しようと試みる観客(!)になりすますことになりました。教授には「捕まらない程度に、いろいろ説得して入れるように交渉するように!」と言われましたが、どうなるでしょうか(笑)。実際には本物のチケットも用意されているので、きちんと観戦を楽しむこともできます。他にもスタッフの様子や、お手洗い、スタジアムの清掃状況等についても後日報告するレポートが課されています。この課題は、マーケティングリサーチを体験することが目標なのですが、日本でも手法を本で読んだことはあっても実践したことがないので、楽しみです。

〈BADM310 Management and Organizational Behavior〉授業形態:Lecture 80×2

単位としては認められませんが、教授に相談したところ、授業資料は見られるようにしてくれるとのことだったので、聴講しております。内容は、すでに日本で学んだことが多く、復習といった感じです。従業員のモチベーションを上げるためにはどのような誘因が有効か、理想的なリーダーとはどのような人か、などを学びました。こちらの学生は退屈なようで、YouTubeやFacebookを見ている学生が多く見受けられます(笑)。

 

【3. 生活全般について】

まず寮についてですが、今年はJIC奨学生4人中3人がtemporary roomに配属されるという事態でした。(今年は例年より寮希望者が多かったそうです。)留学生は正規学生よりかなり後で寮の希望を出すので、仕方ないのですが、案内が届いたら早急に提出することをおすすめします。私は、temporary roomはFAR、そして先日PARの正式な部屋への移動が決まりました。(二つの寮は道を挟んで向かい合っています。)(Florida Avenue Residence hall, Pennsylvania Avenue Residence hallの略です。イリノイ大学では東西に走る道には州の名前がついています。)出発前はtemporary roomと聞いて不安だったのですが、窓がないという点を除けば特に問題はなかったです。現在の部屋は、二人部屋です。ルームメイトは、中国出身の3年生で、シアトルから編入してきたそうです。お互いにあまり部屋にいないタイプなのでいつも一緒というわけではないですが、寝る前に今日あったおもしろい出来事を話したりしています。

PARのおすすめポイントは、食堂が遅くまで(20時〜24時)開いている点と、その場で調理してくれるオムレツやstir fry(混ぜご飯のようなもの)があり質について定評がある点です。アメリカに来る人は誰でも食事について不安があるかと思いますが、私の感想は「想像していたよりずっといい!」です。サラダやフルーツも種類が豊富ですし、朝に自分でワッフルを焼くこともできます。とにかく甘い誘惑がたくさんあって大変です!

写真1高濱

(ある日のお昼ご飯です)

こちらに着いてすぐ、自転車を買いました。理由は、私の住む寮はどこからも遠いからです(笑)。(日本館、テニスコートが近いのは大きなアドバンテージですが!)中古で、鍵や登録費なども含めて$120ほどでした。野村さんには「子供用の自転車を大きくした感じ」というコメントをもらいましたが、いかがでしょう。今の季節はサイクリングにピッタリで、本当に気持ちがよいです。雪が積もって乗れなくなるまで、思い切り乗りまわしたいと思います。盗まれる危険性もありますが、バスの本数が少ない休日にも移動が楽にできるので、なかなか良い買い物だったと思います。

写真2高濱

(購入した自転車 赤い車輪が私の自転車です。)

 

【4. 課外活動について】

Illinois Club Tennisというテニスチームに入りました。38期奨学生の織田さんに、テニスチームがあることを伺っていたので、QuadDayに探し出し、sign upを行いました。今年は例年を上回る応募数とのことで、3回のtryoutがありました。平日の練習は週3回、試合がある場合は週末とのことです。とにかくテニスコートの数の多さに驚きました。普段練習するコートはハードコート16面、+インドアコート6面という有明テニスの森のような設備を備えています。大学の中心部(メインクワッド)からは遠く離れたPAR/FARですが、テニスコートが近いというのが私にとっては大きなメリットとなっています。私はtraveling teamに入ったので、今後他の州の大学と試合をする機会が何度かあるそうです。練習はまだ始まったばかりですが、traveling teamは非常にレベルが高いなというのが感想です。みんなハードヒッターで、毎回ボコボコにされています。男の子も容赦がなくて男女平等を感じております(笑)。たくさん友達を作る良い機会なので自分から話しかけて行こうと思います!

 

【5. 1ヶ月を終えて】

最後に、1ヶ月を終えての感想で締めくくらせていただきます。出発前は、とにかく不安が大きかったです。前回の留学ではかなりのホームシックを経験したので、またなったらどうしよう…と恐怖心がありました。周りで同時期に留学する友人の中には留学を本当に楽しみにしている人も多く、うらやましく思っていました。しかしいざ到着して生活を始めてみると、毎日が楽しく、あっというまに時間が経っていることに私自身一番驚いています。「たいていのことはどうにかなる」という前回の留学で身につけた楽観的精神が役に立っていることを実感しております。少し生活に慣れてきた分、comfortableだと感じる日々が多いです。それはそれで良いことですが、最初に述べたように、常に意識的に小さなトライをするように心がけたいと思います。

もちろん、英語はまだまだ発展途上で、落ち込むこともあります。そんなときは芝生の上に寝転がって青い空を眺めます!すると不思議と元気がでます。そして、JIC奨学生のみんなや、他大学から交換留学でUIUCに来ている日本人の方々、そして正規学生の日本人の方々など、親切にしてくれる人・頼れる人がたくさんいることが何より心強いです。

写真3高濱

(留学生オリエンテーションの日に野村さんと)

 

特別講義のためイリノイ大学にいらした矢部先生に美味しい日本料理屋さんでごちそうになったり、日本館の館長ジェニファーさんのご自宅での大変素敵なホームパーティーに招待していただいたりと、JICのつながりの深さ、そして会員の皆様の温かさをたくさん感じております。JIC奨学生として勉強できる機会をいただけたことに心から感謝しています。次のレポートでも内容のあるご報告ができるよう、一日一日を大切に過ごして行きたいと思います。

 

2015/09/25

第40期小山八郎奨学生 高濱萌子

 

【奨学生レポート番外編】

〜荷物編〜

今回の奨学生レポートでは、「日本から持ってきて役立ったもの(現在持ってくればよかったと思うもの)」そして「こちらで買えば済むもの」を少し紹介させていただきたいと思います!

〈日本から持ってきて役立ったもの〉

  • お菓子(自分用)

やはりアメリカのお菓子は日本人の舌には刺激が強い

  • インスタントお味噌汁

心にしみる

  • 日本風味のドレッシング

「青じそ」が恋しい

  • 爪切り
  • 歯ブラシ
  • ビーチサンダル

シャワーを浴びる時に必須

  • 水着

UIUCにある巨大なスポーツジムにはプールがあり、毎日いつでも泳げる

  • 履歴書・証明写真

滞在中に「ボストンキャリアフォーラム」に行くご予定の方

  • スーツ
  • ルーズリーフ

日本の方が質がよい

  • たくさんポケットのあるファイル

ありそうでない

  • 室内用スリッパ

日本人だから靴が脱ぎたくなる

  • アメリカのガイドブック

あると旅行の計画が立てやすい

・レターセット

〈こちらで簡単に入手可能なもの〉

  • タオル類

$10前後で購入できる

  • 電池
  • 水筒
  • 洋服全般

近くのモールまでバス(無料)で20~30分

  • 食品

キャンパス近くにアジア系スーパー(通称AM-CO)あり。調味料や冷凍食品など一通りそろう。

たいていのものはこちらについてから揃えられると考えて問題ないと思います!シャンプー類や洗剤などは私は気になりませんが、匂いが強すぎると感じる人もいるので心配な人は持ってくるといいかもしれません。様々なガイドブックなどにも載っていますが、生活を始めて思いついたものをピックアップしました。次に留学する方の参考に少しでもなれば幸いです。

喬博軒さんの2015年9月分奨学生レポート

40期奨学生の喬博軒(きょうひろき)です。

はじめにこのような貴重な機会を与えていただけたこと、その過程で素晴らしい方々にお会いできたことに心から感謝申し上げます。関係者の皆様方、本当にありがとうございます。

私はこのキャンパスに来る以前、西海岸にある別の大学のSummer Sessionに参加していたので、このレポートを書いている現在(9月中旬)で日本を発ってすでに2ヶ月が過ぎようとしています。広く青い空、つやつやと輝く草木、至る所で遭遇する小動物たちに囲まれ、美しく巨大なキャンパスを、私は嬉々として歩き回っています。

写真1_kyo

(初めてのQuad:皆が掲載する写真かもしれません。ここに到着した日のことはやはり印象に残っているものです。)

さて、こうして作成している私の報告書が今年度のホームページに掲載されることを考えるとどこか懐かしく幸福な気持ちになります。私自身奨学制度応募の際、歴代の方々の報告書を何年分も読み漁りました。奨学生達が何を学んでいるのか、学部留学とはどのようなものなのか、1年を通してどのような心境の変化があるのか夢中で追っていきながら、ついにはこの制度への応募を決意していました。人生における大きな決断のきっかけとなったのです。それから約1年経った今、大げさにいえば小さい頃から読んでいた図鑑に私の見つけた新種の植物を載せていただけるような、そんな温かくも誇らしい気持ちです。このレポートが枝葉を広げどなたかの心に留まり、その方の中で当時の私のように行動するきっかけとなって欲しいし、誰しもがそうであった学生時代を懐かしく思えるものであって欲しいと願っています。また、これがこれまでの先輩方の言葉とともに記録の一部となって歴史に留まることをとても光栄に思います。40年前の留学生はどのような思いでこの地に立っていたのだろうかと独りよがりに空想し、少しだけ背中を押されるような気になります。彼らの喜怒哀楽をここにくる以前よりも少しだけ輪郭を持って想像できます。そのとき芽吹いた感情はその後の彼らの人生にどのような変化を与えたのでしょうか。そのとき抱いた思いは今も萌えているのでしょうか。それは本人にしかわかりません。翻って、ここでの日々は私の人生にどのように根付くのでしょうか、あるいは今の私を根絶やしにしてしまう(文字通り)外来種となるのかもしれません。全く見当もつきません。恐ろしくも楽しみに思います。どのような結果になろうとも、それは成功や失敗だとか、点的な概念や客観的な指標で測れるものではありません。私だけの事実を伴った経験として、私の中に凛とあり続けるのだろうという確信があります。

このように時を越え未来に過去に思いを馳せながらつづっていると、目の前のことで精一杯になっていたこれまでの自分自身を振り返る貴重な機会になります。ここでの生活や講義、その他課外活動について、できるだけ自分の言葉でお伝えできればと思います。どうか暖かく見守ってくだされば幸いです。

 

<生活について>

寮はSherman Hallという院生用の寮のシングルルームに住んでいます。シングルといっても扉があり区切られているというだけで、バス・トイレを3名の学生でシェアする形です。他の学部寮に比べると自分で勉強できる静かな時間が取れるという反面、現地の学生との関係が希薄になってしまうかもしれない恐れを抱いていましたが、寮の内外で友人に囲まれ楽しく過ごしています。壁は薄いので、口笛を吹いていると隣のスペインからきている院生の友人が口笛で応答してくれます。以前、私の部屋で「探偵物語」(薬師丸ひろ子)を流していて、そのメロディを彼が扉の外からハミングしているのが聞こえたときには、ついニヤついてしまいました。とても粋な友人です。また、これは来てから気づいたのですがSherman Hallは冷蔵庫や電子レンジなどアメニティが揃っている以外にも、立地がとても良いというところが大変気に入っています。大学の中心であるUnionや講義のある建物に大変近く、Main Library、Under Graduate Library、Grainger Engineering Libraryという3つの主要図書館にいずれも10分ほどで通える距離にあります。また、大学街のメインストリートであるGreen streetにもすぐに行けるため、Panera(無農薬野菜などを使ったヘルシー志向のサラダ、ベーグルのお店)やStarbucks coffee、Murphy’s Pub(文字通り学生ばかりのPub)に気軽に出かけることができます。朝食を外でとるのが好きな人やコーヒーショップで勉強する人、バーに通いたい人にはたまらないでしょう。私は数ある図書館の中でもGraingerが、またPaneraの朝食が好きなので早起きして通うようにしています。

写真2_kyo

(Grainger Library、1992年築)

 

<講義ついて>

現在履修している講義は以下の通りです。

MCB426         Bacterial Pathogenesis

CMLH415     International Health

ART103         Painting for non-major

ESL115         Principle of Academic Writing

このような最終形態になったものの、その過程では様々な葛藤がありました。受講してみたかった講義が本当に多かったのですが、結果的に勉強会、英語学習、課外活動を含めて総合的に決定しました。

秋学期の最初の2週間は講義登録に持ちうる限りの時間を費やしました。「講義は出てみなければわからない」という信念のもと、もともと日本から履修したいと考えていた講義のほかに多くの選択肢を検討しました。このように言ってしまうと簡単に聞こえますが、今思えばこの履修登録期間は想像していた以上に消耗させられました。第一にキャンパスが巨大でどこに何があるのかほとんどわからない状態です。大学のホームページで建物名を検索、それをGoogle Mapに入力し、慣れないバスで周回するという作業を繰り返しました。また、大学院や他学部の講義を聴講するには教授やTAの許可が必要なのでメールで連絡を取るのですが、そこから履修登録に反映されるのにブランクがあり数日後にやっと参加することができるといった具合で、これが複数になってくるとなかなか大変でした。講義の時間が重なってしまったときは、取れない講義を別の時間帯に調整したり、その場合すでに登録した講義の履修を一旦解除する旨をTAに伝えねばならなかったり、常に日替わりのスケジュールとにらめっこをする日々でした。出ようと思っていた講演会をすっかり忘れてしまったこともありました。この時期は様々なオリエンテーションや新入生歓迎イベントが毎日のように行われ、それを取捨選択する中で本来の目的を忘れ、こんなにもたくさんの講義に出て自分は何をしたいのだと思い悩むこともありました。しかし、今考えるとこの期間に得たものは大きかったと考えています。様々な授業で沢山の友人ができました。彼らに勧められた講義はご多分に漏れず良かったので大変助けになりました。また、最終的に履修しなかった講義の友人と今でも縁があるのは本当にありがたいことです。

・MCB426          Bacterial Pathogenesis

別の微生物学の講義を聴講していた時にPre-Medの学生(medical school進学を準備している学生)から教えてもらったクラスです。MCB(Molecular Cellular Biology)のクラスの中でもかなり応用的な授業で、シラバスの最初の行に「このクラスはadvancedである」と明言してあります。内容は一言でいうと病原性微生物がヒト・動物に感染を起こす機序についてです。免疫学、微生物学、生化学、遺伝学の知識が前提となってはじめて受講できるクラスであり、また過去15年ほどの試験が閲覧できるのですが、ケーススタディ形式になっていて微生物学・医学の知識を総合的に論述する訓練にもってこいだと判断し履修しました。私が大学で学んだ微生物学・感染症学は治療を目的としていたので視点は根本的に異なっているのですが、こちらではより深く考える基礎分野の面白さを感じています。試験が特に特徴的で、実際にアメリカであった事例から検査結果の推察や考察を問われます。他のMCBのクラスと決定的に違い一問一答や選択肢がなく、加えて解答も様々ときているので、正しく知識を応用できているかや、いかに解答が論理的に組み立てられているかが問われます。これが留学生にとってはなかなか大変ですが、専門用語を実践的に用いる訓練になっています。

また、この講義を通して知り合った韓国からPhDできている友人とは本当に親しくさせてもらっていて、週一回2時間の勉強会だけでなく、車で日用品の買い物に連れて行ってもらったり、韓国料理を食べに行ったり(おいしいほかほか白ごはんが食べられる数少ないチャンスです)、最近は熱く研究の素晴らしさを語られたりしています。(彼は山中伸也が大好きで彼のハングル版自伝本を持ってきて見せてくれました。)

・CMHL415       International Health

秋学期の後期から始まる国際保健のクラスです。教授を訪ね、履修したい旨を伝えると快く参加を許可してくださいましたが、400番台なうえに授業時間が2時間50分というのは全く未知の世界ですから今から恐ろしいです。おそらくディスカッションが含まれると思うのですが、教科書が告知されているのみで未だにシラバスも更新されていません。それでも、日本にいるときから受けたいと考えていた数少ない講義の一つです。私の大学のカリキュラムにはなかった内容だけにとても楽しみにしています。次回のレポートでご報告ができればと思います。

・ART103           Painting for non-major

イリノイ大学では芸術専攻でない学生のためのArtの講義がいくつかあって、教養学部の学生も履修できるようになっています。この授業のほかにも、DrawingやSculptureもあるのですがいずれも人数が各講義あたり20人程度と限られており余剰も認めていないので例年大変人気で、待機者リストに多くの人が登録し空きを待っている状況です。私たち交換留学生の履修登録開始は他の学生たちと比較してかなり遅いので履修は絶望的でした。しかし先ほど述べたとおりこの時期の私は常にスケジュールをチェックしていたので、ほんの一瞬出来た空席に滑り込む形で登録することができました。

医学部では解剖学でのスケッチや外科実習での手術記録など、ときに芸術的な能力を問われることがあります。絵がうまい程良いというわけではないのですが、私は純粋に絵が好きで、その度毎に描くことの面白さを感じトレーニングを受けてみたいと思っていました。ちなみに解剖学の歴史的名著”Atlas of Human Anatomy”の著者、Frank H. Netter(1906-1991)は外科医であったとともに芸術学校で学んだ画家でもありました。外科医として務めたのち医学専門画家として現代でも医学生や専門家に支持される解剖学アトラスの元となるスケッチを多く残しました。私には画家になろうなどという大それた魂胆はありませんが、日本では芸術大学に行かないと学べないような内容を、素晴らしい先生から直接教わることができる機会に、今しかないという思いでこの講義を選びました。授業では主に油絵を学んでいます。補色などといった色彩学や、限られた絵具を使った混色の訓練など基本的な所からスタートし、今は静物スケッチをしています。不思議なもので一生懸命仕上げた作品にはかなりの愛着があり、先生から褒められた作品だったらここでお披露目してもいいかもしれないという身の程もわきまえない危険な願望もあるのですが、理性に従ってやめておきます。数年後(いや数日後かもしれません)自分がこの報告書を見返し、赤面するのが容易に想像できます。

・ESL115           Principle of Academic Writing

以前の奨学生の方の報告書を参考に選択した講義です。理路整然とした構造で、適切な単語、接続、引用、注釈を用いて学術的文章を書く方法を学びます。現在は授業の初日に診断課題として書いた文章を10のステップに分けて検証、更正していく作業を進めています。学期末にかけてデータ収集、ポートフォリオ・注釈付き目録を作成し、最終的にひとつのResearch paperを作り上げていきます。教官の文章チェックが授業ごと(週3回)にあるのでかなり綿密なreflectionを得られています。Speakingや将来の論文・CVの作成に活かせればと思って受講したものの、目からうろこの知識が多くこちらでの生活全般において大変役に立っています。他の講義の課題すべてに応用が利くので今のタイミングでとってよかったと感じています。きちんとしたルールにのっとった文章を書く訓練をしていると、恥ずかしながら私の今までの英語ライティングというのはほぼ自己流であったことに気づかされます。しっかりと身につけておきたいと思わされる内容です。

 

<課外活動>

これらの講義以外に参加している課外活動をご紹介いたします。

少しでもこれからの生活で自由で闊達な表現をできるようになりたいと考え、このひと月は特に語学・コミュニケーションに力を入れました。以下は語学に関する活動です。

・International Hospitality Committeeによる週2回の英語クラス

・UIUC the Center for Writing Studies による週一回のWriting Workshop

・Chinese Conversation Table

・French Conversation Table

それぞれ詳しくはまたご報告できればと思います。語学のみならず、アンテナを張ってさえいれば学びたいことを無料で学べる機会が周囲に存在するという環境はこの大学の持つ強みだと思います。この点に関しては学部4年間をこの場所で過ごすことができるのを心から羨ましく思います。

・医学

寮で偶然知り合ったMedical Schoolの学生に今度彼らの勉強会に誘ってもらえそうなので、そちらのほうの勉強へ徐々に力を入れていきたいと思っています。

・病院実習

この秋休みはClevelandのCase Medical Centerで実習させていただくことが決まりました。現地の病院で実習をすることが私にとってこの留学における大きな挑戦のうちのひとつです。Thanks Giving Holidaysの短い期間ですが、貴重な機会に感謝し精いっぱい学んでまいります。このことをイリノイ大学Japan HouseのDeanのJenniferさんに伝えると、Case Wester Universityのお知り合いを3名もご紹介いただきました。現地での不思議な出会いに驚き、感謝しています。Jenniferさんにいわせるとこのようなserendipityはこの地では日常茶飯事だそうで、それを実感する毎日です。

 

<番外編>

・アメリカで眼鏡をつくる

こちらにきて最初に困ったのは眼鏡を失くしてしまったことです。日本から持ってきた眼鏡は西海岸、サンディエゴのビーチではしゃいだ際に、なんと海に落としそのまま波にさらわれ返らぬものとなってしまいました。

 

写真3_kyo

(サンディエゴの海より空より、いちばんブルーな私の背中)

結論としてお金はかかるとは聞いてはいましたが、眼鏡を1日で作ることができました。案の定相当な出費になりましたが、敢えて良かった点を挙げるとするとアメリカで眼鏡を購入するという経験ができたこと、友人と彼のガールフレンドに選んでもらったので良い思い出になったことです。

シャンペーンにきて最初に友人に半ば泣きつきながらお願いし連れて行ってもらったのは付近の大きなショッピングセンター、マイヤーに併設する眼鏡ショップでした。彼は電話で検眼医の在籍を確認しその日に現物受取ができるか確認してくれました。アメリカでは眼鏡やコンタクトの購入には、資格を持った眼科医もしくは検眼医による処方箋(Prescription)が必要です。眼鏡を販売するのみのお店ではこの検眼医がおらず、あらかじめ眼科で検査を受け処方箋をもらっておく必要があります。当然病院に行くことになるので予約が必要で時間がかかってしまいますが、今回のように資格者がいる眼科に行けば即日で検査、購入が可能です。

よい機会なのでアメリカにおける眼に関する職業(①Ophthalmologist ②Optometrist ③Optician)の違いを簡単にご紹介します。

  • Ophthalmologist: 眼科医、いわゆるEye M.D.は4年制大学ののちmedical schoolを卒業、さらに8年以上のトレーニングのすえ眼科専門医を取得した医師で、検査はもちろん診断や外科手術を含む治療を行います。日本の眼科医と同じといっていいと思います。(ちなみに眼科専門医はアメリカ医師資格の中でも放射線科と共に断トツに人気の高い科のひとつなので取得には大変優秀な成績、研究成果が必要です。)
  • Optometrist: 検眼医、D.は3年制以上の大学を卒業後、専門大学(optometry school, 4年制)を卒業して得られる資格です。3~4年で自立し、基本的なアイケアの提供を行う医療専門職です。日本でいう医師ではありません。眼鏡・コンタクトの処方のための眼科検査・処方箋発行と、特定の疾患には治療も行います。
  • Optician: 眼鏡屋、眼鏡師さん。フレームやレンズのデザイン、作成を行います。検査や処方箋を出すことはできません。

流れとしては受付を済ませた後、検眼医による一連の検査(視野、視力、眼圧、乱視、色覚など日本での項目より若干多かった印象です)を受け、結果の説明ののち処方箋を取得。それに基づいてレンズを決定。店内で好きなフレームを選んでから30分ほど待機し受け取りました。ここまで1時間強。料金は検査費用(70ドル)に加えてレンズ・フレーム代金(物によりますが日本より割高)という具合です。友人はネットで買ったほうが安いといっていました。また、加入している保険の種類によって検査費や眼鏡代金がカバーされるということもあるようです。

強調したいのは、最初から最後までサービスが行き届いていて懇切丁寧であったということです。眼鏡ショップの奥に眼科検査室があり、そこで検眼医による検査が行われました。検査結果の説明はプライバシーの確保された小奇麗な個室で、医師がしっかりと対応してくれました。最後に眼鏡師の方がフレームの歪みをコンピュータを駆使して調整してくれました。どの方もここは果たしてアメリカなのだろうかと困惑するほど対応がよく正直驚きました。単に私が今まで体験した「理にかなっていて余計なことをしないアメリカ」とは少し趣が異なっていたというだけのことなのですが、この大国の新たな一面を垣間見た気がいたします。日本でいつも低価格眼鏡を購入しているせいでしょうか、今までで一番満足度が高く「しっかりした」眼鏡ができあがったと思っています。

写真4_kyo

(自分史上最高の眼鏡:アメリカで作った思い出の品。ただしmade in Chinaです)

 

<所感>

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(禅語と浮世絵:フィラデルフィア美術館収蔵の鈴木春信の浮世絵写しはフリーマーケットでなんと1ドル!)

私の部屋の一番目立つ棚に、禅語が書かれた色紙があります。これは留学の決まった折に、お茶を教わっている先生から直筆で贈っていただいたものです。観音経の一説なのでご存知の方も多いと思ますが(じげんじしゅじょう)と読みます。「思いやりの眼を持った物事の見方によってたくさんの幸福が海のように集まるだろう」という言葉の一部です。

現在の環境下では、多くの出会いや未知の出来事に出くわします。今までにない多様な文化や考え方を目の前にしたとき、困難な場面に遭遇したとき、私たちはともすれば自分の狭い良識に囚われた批判的な思考に陥りがちです。私のような未熟な学生など尚更で、ときに自分の凝り固まった価値観に気づかされることがあります。そのような状況でまずは「慈眼」をもって相手の言動や人間を敬い、前向きに思考する癖をつけたいです。これは私なりの解釈ですが、この癖が建設的な人間関係や素早く柔軟な問題解決につながるという実感があります。この言葉を自分自身への戒めの言葉として肝に銘じ、残りの日々を過ごしてまいりたいと思います。アメリカの持つ良い側面を見習い吸収したいと思うと同時に、日本の持つ思想の寛大さ、素晴らしさを再確認する日々です。

これをもってご支援・ご協力いただいている皆様やJICの皆様へむけてのご報告とさせていただきます。今後ともよろしくお願いいたします。

写真6_kyo

(友人たちとDowntownにて)

2015年9月25日、シャンペーン